2008年8月16日(土)「しんぶん赤旗」

閣僚3人が靖国参拝

副大臣・政務官ら6人も

首相はせず


 終戦記念日の十五日、福田内閣の太田誠一農水相、保岡興治法相、野田聖子消費者行政担当相をはじめ副大臣、政務官、首相補佐官六人などが東京・九段北の靖国神社を相次いで参拝しました。福田康夫首相は参拝しませんでしたが、終戦の日に参拝した閣僚は、昨年の一人から三人に増加しました。

 太田農水相は、「衆院議員太田誠一」と記帳し、参拝後の会見で「公人としての立場」などと述べました。

 野田消費者行政担当相も「国務大臣野田聖子」と記帳。保岡法相は参拝前の会見で「職務として参拝するということではない」などと語りました。

 政府関係者で参拝したのは、竹下亘財務副大臣、高市早苗経済産業副大臣、早川忠孝法務政務官、戸井田徹厚生労働政務官、岸信夫防衛政務官、山谷えり子首相補佐官でした。

 同日は、小泉純一郎元首相と安倍晋三前首相や自民党の古賀誠選対委員長、尾辻秀久参院議員会長も相次いで参拝しました。

 超党派議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(島村宜伸会長)のメンバーは同日午前、集団参拝を行いました。

 同会が会見で発表した参拝者数は、自民、民主など五十三人(衆院四十人、参院十三人)。

 参拝後、島村会長は記者会見で、首相参拝を望むのかと問われ「日本人として、日本の政治家としてそうあるべきではないかと思う」などと述べました。


首相の「深い反省」に反する

 靖国神社は、もともと戦没者の純粋な追悼の施設などではなく、戦争で「武勲」をたてた戦死者の「顕彰」と過去の侵略戦争を正当化することを使命とした組織です。

 その神社に、終戦の日に閣僚が三人も参拝したことは、平和を求める国民や世界の人々と、福田政権との矛盾を深めるものです。

 福田康夫首相は、同日の全国戦没者追悼式で、先の大戦で日本が「アジアの諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」ことに「深い反省」と「哀悼の意」を表し、「過去と謙虚に向き合い、悲惨な戦争の教訓を風化させることなく、過ぎし日の史実を未来に正しく引き継いでいく」などと語りました。

 閣僚や政府関係者の参拝は、この首相の言明に反するものです。ところが、首相はこれを黙認し、官邸からは「各大臣のご見識に委ねられるべき性格のもの」(町村信孝官房長官)などという声が聞こえてくるだけです。

 これでは、首相がいくら「史実を未来に正しく引き継ぐ」といっても、アジアの人々の信頼も、国民の支持もえられないでしょう。(藤原直)



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