2008年8月12日(火)「しんぶん赤旗」

イタイイタイ病公害認定40年

富山市・神通川流域 土壌復元事業を見学

「涙が出るほど胸痛む」

環境学会と農業機械学会


 富山県射水市で研究発表会とシンポジウムを開いた日本環境学会は十一日、公害病認定から四十年をむかえたイタイイタイ病の悲劇を生んだ富山市神通川流域のカドミウム汚染田土壌復元事業の現地見学会を開き、閉幕しました。

 日本環境学会と日本農業機械学会の会員ら約百人が参加し、ショベルカーが土壌を掘り起こしている工事現場や記念碑を見学。住民運動の拠点としてたてられた清流会館では、公害裁判の記録映画や約一世紀にわたるパネル展示に「涙がでるほど胸が痛む」と声を詰まらせていました。

 一九七二年八月九日にイタイイタイ病公害裁判の控訴審での全面勝訴をうけて始まった汚染田復元事業は、約千五百ヘクタールの汚染指定地域のうち、約八百五十ヘクタールの農地が対象で、三十六年たったいまも進行中。

 工事は汚染土壌を削り取って下層に埋め、盛り土するという方法です。工事の費用の約四割を三井金属が負担、六割は税金投入。長い年月をかけすすめられてきましたが、この復元事業は「復元よりも予防が安上がり」ということを裏付ける結果となりました。

 イタイイタイ病対策協議会の高木勲寛会長は「ふたたびイタイイタイ病の公害を発生させず、公害の教訓を後世に伝えていくために、イタイイタイ病とカドミウム汚染資料館の建設を国と富山県に要望する運動をすすめている」と語りました。

 同協議会副会長の高木良信さん(77)は「汚染農地は、あと二、三年で土壌の入れ替えが終わる。毎年おこなってきた神岡鉱山の立ち入り調査もことし八月で三十七回目をむかえ、神通川の汚染を許さない発生源対策もすすめてきた。しかし、イタイイタイ病の認定審査には問題が多く、すべての被害者がまだ救済されていない」と語りました。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp