2008年8月9日(土)「しんぶん赤旗」

シベリア抑留

新たな犠牲者情報提供

厚労省 遺族に説明送付へ


 厚生労働省は八日、戦後、シベリアに抑留され、死亡した犠牲者に関する新たな個人資料を提供するにあたり、遺族に照会方法などについて説明した通知を送付することを発表しました。一回目は十二日に発送し、約一万人の遺族が対象です。

 送付対象は個人資料の存在と遺族の所在が確認できた約三万人です。十月上旬までに、残り約二万人分を順次発送する予定です。

 今回の通知は、日本共産党の紙智子参院議員が五月、厚労省に個人資料の提供について関係者、遺族への周知を求めたのに対し、実現したもの。

 ロシア政府は二〇〇五年、旧ソ連邦抑留中死亡者に関する個人資料の原本を撮影したマイクロフィルムを日本政府に提供しました。今回、遺族に提供する情報は、これにもとづいたもので、これまでの死亡者名簿より詳細です。

 一九九一年から〇八年八月一日現在までに、ロシア政府などから提供された登載者総数は四万九百四十人。うち身元が確認できたのは三万二千九人です。

 提供資料の概要は、抑留中の犠牲者に関する個人の登録文書です。

 主な項目は氏名、出生年、召集時の住所▽所属部隊、階級▽家族の氏名等▽抑留時期、場所▽死亡場所▽死因▽埋葬場所▽医療施設の名称、入院理由、診断▽抑留者の漢字氏名―です。

 なお、提供された資料すべてに右記の記載があるわけではありません。抑留者の漢字氏名以外はロシア語による記載です。

多くの照会期待

写真

 紙智子参院議員の話 五月の質問からわずかの期間で厚労省調査資料室に心をくだいて作業を進めていただき、今回一万人のご遺族に通知されることになり本当によかった。肉親の最期を知ることはつらい半面、納得して癒やされることにもつながるので、多くのご遺族が個人資料にアクセスできるよう期待しています。


 シベリア抑留 1945年8月23日、旧ソ連のスターリンが出した「日本軍捕虜50万人の受け入れ、配置、労働利用について」という極秘命令により、日本軍兵士ら60余万人がシベリアやモンゴルで強制労働させられました。6万人以上が亡くなったといわれています。



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