2008年8月2日(土)「しんぶん赤旗」

米国防戦略文書を発表 国防総省

対テロ戦は「長期の戦争」
同盟国巻き込む軍事行動

「先制攻撃」は後景に


 【ワシントン=鎌塚由美】米国防総省は三十一日、米国の軍事方針の基本的考え方をまとめた文書「国家防衛戦略」を発表しました。二〇〇五年三月に続くもので、ゲーツ国防長官の下では初めて。対テロ戦争を「長い戦争」と位置づけるとともに、同盟国や新パートナーを巻き込んだ軍事行動を強調しました。


 「国防戦略」はホワイトハウスの「国家安全保障戦略」にもとづいて国防総省がつくる文書です。二十三ページにわたる今回の新「戦略」の前文でゲーツ国防長官は、この戦略は「共通の目的を達成するための、米政府内および国際的なわれわれのパートナーが果たす決定的に重要な役割を強調」していると指摘。「もうすぐ新しい最高司令官(大統領)を迎える」と述べながら、今回の戦略を次期政権の軍事指針の「青写真」と位置づけました。

 「戦略」は、「国土防衛」などの五つの主要課題のなかに「長い戦争での勝利」を掲げ、「暴力的な過激主義者たちに対する長い戦争」での勝利は、「中心的課題」だと強調しました。

 イラクやアフガニスタン戦争をその「主戦場」とし、その勝利には「古い同盟国と新たなパートナーとの協力」が必要だと表明しました。

 新「戦略」では、ラムズフェルド前国防長官が強く主張した対テロでの“先制攻撃”やイラク戦争でみられた“有志連合”などの発想が前回の「国防戦略」の報告に比べて後景に退きました。

 先制攻撃に関しては、「紛争抑止」の課題のなかで「攻撃を防止し、どんな攻撃にも断固として応酬」し、「必要な場合には正確に攻撃する」能力が「信頼できる抑止」につながるとだけのべました。

 前回の「国防戦略」は「破滅的な攻撃を先制的に予防する行動」が必要で、「危険な挑戦が成熟する前に、早期に安全な距離をおいて打破すべきだ」とのべていました。

 今回の「戦略」は、イランや北朝鮮を引き続き「国際秩序を脅かす、ならず者国家」と呼び、中国の「拡大する軍事現代化」に対する防衛手段が迫られると警戒。ロシアについては「開放と民主主義からの後退は、米国の安全保障に重要な意味を持ちうる」とのべました。



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