2008年7月31日(木)「しんぶん赤旗」

自然エネルギー普及の経済効果とは?


 〈問い〉 ドイツでは、自然エネルギーの普及によって二酸化炭素削減だけでなく、雇用や地元への大きな経済効果を生んでいるそうですが、どんなふうにやったのでしょうか?(東京・一読者)

 〈答え〉 ドイツでは、2007年現在、自然エネルギーが最終エネルギー消費の8・4%を占め、これによって年間1・1億トンのCO2を削減しました。自然エネルギーによる電力は発電量の14%を占めています。

 自然エネルギーは経済効果も高く、06年には229億ユーロ(約3兆7000億円)の売り上げを実現しています。また雇用も拡大しています。21万4000人がこの分野で雇用されており、04年から36%増加しました。内訳は、バイオマスが9万1900人、風力が7万3800人、太陽光が3万5000人、水力が9200人、地熱が4100人です。とくにバイオマスは04年比で62%増、地熱は228%増と大きく発展しています。

 個別企業でも、01年に19人で設立された太陽光パネルメーカーのGセルズ社は、07年には日本のシャープを抜いて世界一の生産量を達成するまでに急成長し、1700人を雇用しています。

 ドイツでは、地域の特性を生かした自然エネルギー設備が分散して設置されているため、資金の流れや雇用が各地域につくられ、成果が地元に還元されています。たとえば広い森林、農村地域をかかえるバイエルン州は、バイオによる発電、暖房、燃料生産に力を入れていますが、農家はそのためのバイオガス、木質チップ、ペレット、燃料用農産物を供給することによって、収入を増やしています。

 自然エネルギーの普及を促進したのは、00年、自然エネルギーによる電力を固定価格で電力会社が設置者から買い取ることを法律で義務づけたことです。たとえば太陽光パネルを設置すると、20年間の電気の売り上げは経費を上回ります。そのため太陽光発電設備の発電量は2000年の10万キロワットから06年には283万キロワットに急増し、日本のほぼ倍になりました。

 日本では一次エネルギーに占める自然エネルギー(大規模水力発電を除く)の割合は、わずか2%です。自然エネルギーの普及には国の積極的な政策と、地域、住民の取り組みが重要であることをドイツの例は示しています。(忠)

〔2008・7・31(木)〕


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