2008年7月30日(水)「しんぶん赤旗」

政府が社会保障「安心プラン」

「後期医療」に固執


 政府は二十九日、社会保障の分野でとりくむ緊急対策を盛り込んだ「五つの安心プラン」を発表しました。

 同プランは、福田康夫首相の指示でとりまとめられたもの。(1)高齢者政策(2)医療体制の整備(3)子育て支援(4)非正規雇用対策(5)厚生労働行政の見直し―の五つの柱からなります。

 高齢者政策では、高齢者の就労促進や、「基礎年金の最低保障機能強化」の検討などを打ち出しました。しかし、国民の批判が高まっている後期高齢者医療制度については、「円滑な運営」などと明記しています。

 また、「療養病床の転換を円滑に進め」るとして、療養病床削減政策を続ける方針を示しました。

 医療体制整備では、深刻な医師不足を解決するための医師養成数の増加や、産科医やへき地の医師の手当などへの財政支援を掲げました。

 子育て支援では、待機児童が多い地域で「自治体の積極的取組による認可保育所の緊急整備」の促進を明記。保育園と幼稚園の一体型施設「認定こども園」の設置促進にむけ、「こども交付金」を創設するとしています。同園は、公的保育制度の後退につながると懸念されているものです。

 非正規雇用対策では、「ネットカフェ難民」に対して生活支援を行うとしています。

 また、厚労行政を見直すとして、奥田碩トヨタ自動車相談役を座長とする有識者会議を設置するとしています。


解説

「国民の目線」とかい離

 「『この国に生まれてよかった』と思える国づくりを進める」―。福田首相が鳴り物入りでつくった「五つの安心プラン」は冒頭でこう唱えています。さらに、「国民が抱く不安や不満に鑑(かんが)みる」「国民の目線に立ったきめ細かな方策を検討」と強調しています。

 しかし、その中身は「国民の目線」とはかけ離れたものです。

 政府は、この間の国民世論と運動を反映して、医師不足対策や、一定の非正規雇用対策などを盛り込みました。

 一方、国民の不安と怒りが噴きあがった後期高齢者医療制度については、保険料の軽減などはいうものの、相変わらず「制度の円滑な運営」と明記し、制度の存続に固執しています。国民に大きな不安を与えている療養病床の削減を推進する姿勢も変えようとしません。

 子育て支援策では、「未来を担う『子どもたち』を守り育てる社会」をスローガンにし、「認定こども園」の推進などを強調しますが、子育て世代の多くが直面している長時間・過密労働や不安定雇用などの根本問題に本格的な対策を講じる姿勢は見えません。

 これらが国民に安心をもたらすものではないことは、「社会保障の機能強化のため」とプランでいいながら、同日の閣議で、社会保障費の二千二百億円の削減を決めたことにも表れています。このような姿勢では、国民に安心がもたらされるとは思えません。(小林拓也)



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