2008年7月28日(月)「しんぶん赤旗」

主張

臨時国会の召集

新テロ法の延長強行が狙いだ


 臨時国会の召集時期について、八月末にするか、九月に先延ばしにするかの意見が与党内からでています。しかしいずれも、来年一月に期限切れとなる新テロ法の延長を強行するためのものであることに変わりはありません。

 自公両党が多数を占める衆議院で新テロ法の延長法案を可決しても、野党が多数を占める参議院では不可能です。このため召集時期を早め、衆議院での「再議決」で延長法案を強行成立させるうえで必要な時間を確保しようとしているのです。国会の審議権を無視する党利党略の動きであって、許されることではありません。

審議が形だけになる

 政府・与党が新テロ法の延長に固執するのは、アフガニスタン戦争での対米支援が福田内閣にとって至上命令だからです。洞爺湖サミット直前の日米首脳会談でも、福田康夫首相はブッシュ米大統領に、「日米同盟をさらに深化させていく」と約束しました。アフガニスタンとイラクを軍事力で支配することに失敗したブッシュ政権を支え、後押しすることが柱になっているのはあきらかです。

 昨年十一月一日の旧テロ法失効とともに自衛隊はインド洋から撤退しました。政府が年をまたいで国会の会期を延長し、衆議院の「再議決」による新テロ法成立にけんめいになったのは、戦争支援継続に反対する国民の意思よりもアメリカの意向を優先したためです。

 約四カ月ぶりに給油支援を再開したとはいえ、ブッシュ政権の不満は残ったままです。アルビズ米国務副次官補は議会証言で、衆参が異なる決定をする現状がアメリカの政策にとって「難題」だとのべています。(六月十二日)

 福田首相が海外派兵恒久法づくりに着手し、すべてが戦場であるアフガニスタン本土への自衛隊派兵の検討を始めたのも、アメリカの不満を解消する思惑からです。ブッシュ政権に気に入られるため右往左往する態度は、異常な対米追随姿勢のあらわれです。

 政府・与党は臨時国会でも、新テロ法延長法案の衆院可決後、参院が否決したり、六十日以内に採決しない場合は、衆院で「再議決」して成立を強行する構えです。こうした手法は、審議をつくし問題を解明する国会の役割を形がい化するものです。

 政府は、新テロ法がアメリカのアフガニスタン報復戦争=「不朽の自由作戦」の支援ではないかのようにいいますが、アメリカ政府は、「不朽の自由作戦を支える有志連合軍の支援を自衛隊に許す法律」(アルビズ国務副次官補)といっています。米艦船などへの給油支援は戦争支援そのものです。延長などとんでもないことです。

自衛隊は撤退せよ

 アフガニスタンでのアメリカの戦争は激しさを増し、米軍などの無差別爆撃で民間人の犠牲が激増しています。アフガン下院のヤシニ副議長は、「国民はこれ以上、米軍の空爆に耐えられない」と非難しています。戦争やめよの国際世論を大きくする必要があります。

 日本は戦争を否定した憲法をもつ国です。非人道的な戦争の軍事支援はこれ以上許されません。

 日本政府がやるべきことは、アフガニスタン問題を外交的、平和的に解決する国際環境づくりへの貢献です。自衛隊をインド洋からただちに撤退させるべきです。



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