2008年7月26日(土)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度の政令公布

天引きから振替選択も

部分手直しで延命はかる


 後期高齢者医療制度で、保険料の年金天引きの代わりに口座振替での納付を選択できるようにするための政令が、二十五日に公布・施行されました。広がり続ける国民の怒りを受け、政府・与党が六月にまとめた「見直し策」に基づくものです。部分的な手直しで批判をかわし、制度の延命をはかる狙いがあります。

 年金天引きから口座振替への変更ができるのは(1)国民健康保険料(税)を過去二年間、滞納せずに支払っていた人(2)年金収入が年百八十万円未満の人で、保険料を子ども(世帯主)や配偶者の口座振替で支払う場合―です。厚生労働省は、過去二年間に滞納があった場合でも、やむを得ない事情であれば変更は可能としています。

 ただし、口座振替に変更した人が保険料を滞納した場合は、年金天引きが再開されることになります。

 六十五―七十四歳の国保加入者で保険料が年金から天引きされる人も、同様に、条件を満たせば口座振替への変更ができます。

 保険料の年金天引きをやめて口座振替にするには、市区町村への申請が必要です。手続きには時間がかかるため、十月から天引きをやめるには、八月上旬までに申請することが必要です。(自治体によって異なります)

税負担軽減も

 四月から保険料の年金天引きが実施されたことによって、税の控除(社会保険料控除)が受けられなくなり、税負担が増えるケースがあることに、批判の声が上がっています。

 今回、年金額が年百八十万円未満の人が、子ども(世帯主)や配偶者の口座振替に変更すれば、税の負担が軽減される場合があります。しかし、政府・与党の広報やお知らせは、このことには触れていません。

 東京都後期高齢者医療広域連合議会議員の岩田康男さん(日本共産党三鷹市議)は、「後期高齢者医療制度は、医療費削減のために七十五歳以上を切り離すことが先にありきで、実施後にさまざまな矛盾が明らかになりました。今回の見直しでも、さまざまな問題点があります。知らない人が損をする仕組みも大問題です。いったん廃止し、どういう制度がいいのか国民的な議論をつくすべきです」と話しています。



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