2008年7月26日(土)「しんぶん赤旗」

派遣労働 自由化前に戻せ

志位委員長ら4野党が討論


 「今こそ派遣法の抜本改正を 希望のもてる働き方の実現を」―。日本共産党の志位和夫委員長をはじめ野党四党の幹部がそろって労働者派遣法の見直しについて議論する「各党トップに聞く集会」が二十五日、東京都千代田区の総評会館で開かれました。


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(写真)労働者派遣法の抜本改正について各党トップに聞く集会で発言する志位和夫委員長(正面右から3人目)=25日、東京都千代田区の総評会館

 全国ユニオンなどでつくる「格差是正と派遣法改正を実現する連絡会」が、臨時国会で抜本改正を実現しようと企画したものです。中野麻美弁護士の司会で志位氏のほか、民主党の山田正彦衆院議員、社民党の福島瑞穂党首、国民新党の亀井亜紀子副幹事長が討論。会場いっぱいの二百四十五人が聞き入りました。

 志位氏は、「中途半端な見直しでなく、人間らしい労働を保障する方向での抜本的な法改正が必要」とのべ、日本共産党の改正法案の考え方を説明しました。

 民主党の山田氏は、派遣労働が“働く貧困層”を生んだとのべ、二カ月以内の派遣禁止など同党案を紹介。登録型派遣は広がっているので禁止は難しいとしつつも、「四野党で共同できるよう協議していきたい」とのべました。

 社民党の福島氏は、「派遣は例外的な働き方という原則に立つべきだ」として、登録型派遣を制限するなど改正案を紹介し、「四野党が結束して法案を出したい」とのべました。

 国民新党の亀井氏も「専門的な業務に限定すべきだ」と強調し、正社員より賃金を高くするなど派遣労働者の数を規制すべきだとのべました。

 ルポライターの鎌田慧氏は「せめて解禁(自由化)したところまで戻るべきだ」とのべました。

 こうした発言をうけて志位委員長は、「一九九九年に原則自由化したことが諸悪の根源だという点では、共産、社民、国民新党は一致している。与党も原則自由化したことが問題だという認識を持ちはじめている」と指摘。「九九年改正が間違っていた。使い捨て雇用をつくった。ポジティブ方式(業務限定)に戻すよう団結して頑張っていくことが大事だと思う」とのべました。

 これに対し、福島党首は「おっしゃる通り」、鎌田氏も「なくなったルールをつくろうということだ」と発言。中野氏も「一致点がある」とのべました。

 志位委員長は最後に、「社会的な連帯で解決することが重要だ。抜本的な改正が実現できるよう全力あげたい」とのべました。


使い捨て雇用一掃へ抜本改正が必要  

志位氏

 志位氏は、派遣法制はこれまでの規制緩和の連続から規制強化へと「潮目の変化」が生まれていると指摘。「労働者のたたかいが一歩、動かした」と強調しました。

 野党四党が法改正を提起し、政府・与党も「日雇い派遣の原則禁止」を言い出さざるをえなくなっていることにふれながら、ここまできたからには「いつでも首にできる、使い捨て自由の不安定雇用」の一掃をめざす「抜本的法改正が必要だ」と話しました。

 その上で志位氏は、日本共産党の派遣法改正案について説明。“派遣労働は、臨時的・一時的業務に限定し、常用雇用の代替としてはならない”という大原則を法律の条文に明記すること、この大原則にたって現実をただしていくアプローチが大切だと強調しました。

 法案の核心として「労働者派遣は、常用型派遣を基本とし、登録型派遣を例外としてきびしく規制する。日雇い派遣は禁止する」と強調。これは派遣を原則自由化した一九九九年の大改悪の前に戻せということだと説明しました。

 また、法改正をしても通訳などの専門的業務にたずさわる派遣労働は残るので、派遣受け入れ期間の制限や、違法派遣については派遣先が直接雇用したものとみなすなどの保護措置をとることも紹介しました。

 志位氏は、キヤノンなど大手製造業が派遣労働を解消して期間社員などに置き換えている動きを紹介。「一歩前進だが、これでは新たな使い捨て労働が残る」と指摘し、労働基準法を改正して有期雇用を制限することを提案、「正社員への太い道を開くための法改正も必要だ」と述べました。



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