2008年7月16日(水)「しんぶん赤旗」

生きていけない。国は水産食料確保に責任果たせ

大漁旗怒る

一斉休漁

東京・霞が関 漁師がゆく


 これでは生きていけない―。全国の漁民が十五日、一斉休漁し、東京・日比谷公園の野外音楽堂で開いた「漁業経営危機突破全国漁民大会」。海の色、ブルーのタオルをキリッと結んだ漁師たちが、「漁業存亡の危機打開」をめざし霞が関周辺をデモ行進しました。猛暑を吹き飛ばす漁師たちの心意気が、怒りのシュプレヒコールとなって響きました。


 会場には大漁旗がかかげられ、「国は水産食料の確保に責任を果たせ」などのスローガンの垂れ幕。「燃油価格を補填(てん)せよ!」などと書いたプラカードが目立ちます。自民党議員のあいさつに「結果をだせ」の声も飛びました。

 岩手県山田町でイカ釣り漁をしている男性(73)は、六十年近く海に出ているベテラン漁師です。「こんなことは初めて」と驚きを隠しません。「一九六五年にも同じことがあったが、当時は魚価が高かったから影響は小さかった。今回は魚価は安いし、燃料代だけでも昨年の二・五倍はかかる。イカを入れる発泡スチロールの箱などの資材も値上がりしているから影響は深刻だよ」と窮状を語りました。

 宮城県漁協女性部会長の畠山悦子さん(65)は、「油は値上がりするが魚の値段は上がらない。このままなら生活費も出ません。年金、介護保険、税金と何もかも負担増。父ちゃんは二十歳からマグロ船に乗り海に出てきた。七十三歳になるが、これでは海に魚取りにいけない。助けてください」と訴えました。

 北海道小樽市の男性(36)は、底引き漁船に乗っています。最近、会社が、九隻持っていた船を六隻にするといって、五十人の失業者が出たといいます。「個人的には、燃油高をどうしたらいいのか分からない。でも、きょうはたくさんの人がきていて驚いた。参加してよかった」

 高知県から参加した二十八歳の青年は「カツオ漁をしている両親が苦しんでいるのを見ていられない」といいます。自身はサービス業で働き、船に乗るのは「手伝い程度」。しかし、燃油高騰が始まってから、両親が出船を躊躇(ちゅうちょ)している様子がうかがえるといいます。「自分たちの世代が何かしなければいけないと思って参加した。政府はすぐ燃油高騰の対策をしてほしい」と力を込めました。

 「頑張ってください」と、自転車をとめてビラを受け取った男性(30)=東京都杉並区=は、「テレビで漁師さんがストをすると聞いて大変なことになっていると感じた。漁業は国が守るもの。国が(燃油高の)対策をとるのは当然だと思う」と語りました。


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