2008年7月11日(金)「しんぶん赤旗」

有明訴訟

ただちに開門せよ

控訴に漁民ら抗議

“何人も自殺。海を返せ”


 「国は控訴するな! ただちに潮受け堤防の開門を」。「よみがえれ!有明訴訟」原告団・弁護団の有明海沿岸四県のノリ養殖や漁船漁業者らが十日、東京都千代田区の首相官邸前と農水省前で、諫早湾干拓事業の潮受け堤防の中長期開門調査を命じた佐賀地裁判決にたいし、政府が控訴したことに、抗議の声を上げました。


写真

(写真)控訴を断念してただちに開門を、と座り込みを続ける原告漁民ら=10日、農水省前

 福岡、佐賀県などのノリ養殖業者らが次つぎマイクをにぎります。松藤文豪さん(有明海漁民・市民ネットワーク代表)らは「潮の流れがゆるくなっている。濁った有明海の海でなく、赤潮が発生する海になった。すみやかに開門調査をしてください」。「周りに苦しんでいる漁業者がいっぱいいる。何人も自殺した」。「漁業者は生きるか死ぬかの瀬戸際。私たちから宝の海をとりあげないでください」と、声を詰まらせて訴えます。

 熊本県のタイラギ漁などの漁業者は「潮受け堤防を早く開門して、どうか二枚貝のタイラギ漁ができるようにしてほしい」「漁民はなにも悪いことをしていません。助けてください」と訴えます。

 長崎県の漁業者も「潮受け堤防が閉めきられてから海がかわってしまった。ただちに開門して、元の有明海を返してくれ」と声をあげます。

 同原告団・弁護団は、福田康夫首相、若林正俊農水相との面会と控訴断念を求め、農水省前で四日目の座り込み要請行動を繰り広げました。

 日本共産党の仁比聡平参院議員、赤嶺政賢衆院議員らが、同原告団の漁民らを激励しました。


政権の無策と語気強め批判

原告団会見

 「福田政権の無策と理不尽な控訴に、断固として抗議する」―。諫早湾干拓訴訟で国側が控訴したことについて、原告団らは十日夜、佐賀市内で記者会見し、厳しく批判しました。馬奈木昭雄弁護団長は「漁民をさらに苦しませる行政は許されない」と語気を強めました。国側控訴を受け、原告五十一人は堤防撤去などを求め、十一日に控訴するといいます。

 原告の平方宣清さんは「判決後、東京に行き、(若林正俊)農水大臣に漁民の窮状を訴えた。大臣はうなずきながら聞いていたので、(原告らの)意見をくんでくれると思ったが…」と硬い表情で話しました。

 農水相は開門調査について「検討を進める」としましたが、馬奈木団長は「単なるリップサービス」と評し「何ら実効性はない」と一蹴(いっしゅう)。「原告、漁民と真っ先に協議すべきだ」と主張しました。


共産党が開門要請

有明海沿岸の4県委員会

 諫早湾の潮受け堤防排水門の開門を命じた佐賀地裁判決の控訴期限が迫るなか福岡、佐賀、長崎、熊本の有明海沿岸四県の日本共産党県委員会は十日、一日も早い開門を求める要請を農林水産省に行いました。要請には、「よみがえれ! 有明訴訟」の弁護団と原告も同行。農水省の担当者は、調整池の水質は良くなっているなどとごまかしの回答に終始しましたが、要請団は、「漁民の声に耳を傾け、農業も漁業も成り立つようにするためには開門しかない」と迫りました。

 四県委員会は、(1)控訴せず開門する(2)開門方法、調整池に代わる水源確保については弁護団、原告団の提案を真剣に受け止め具体化する(3)漁民の被害状況、生活実態をよくつかみ、生活保障などの漁民要求に応える―の三点を求めました。



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