2008年7月8日(火)「しんぶん赤旗」
英下院外交委
チャゴス島民帰還支持
米基地化で強制退去 政府を批判
【ロンドン=岡崎衆史】英下院外交委員会は六日、米軍基地建設のために強制退去させられた英領チャゴス諸島の元島民の帰還権を基本的に支持する報告書を発表しました。
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報告で同委員会は、元島民の帰還を認め、支援することは「強い道徳的な正当性がある」と強調。島での生活を維持できないとして帰還を拒否する英政府の主張は「説得力が弱い」として退けました。しかし、元島民帰還が諸島内のディエゴガルシア米軍基地の安全保障に影響を与えるとの政府の主張については今後検証していく姿勢を示しました。
英国は一九六六年、インド洋にあるチャゴス諸島の六十を超える島のうち、最大のディエゴガルシア島を二〇一六年までの期限で米国に貸与。米国は同島を基地化しました。英政府は米軍の要求を受け、一九六八―七三年にかけて、チャゴス諸島の全住民約二千人を近隣の旧英植民地モーリシャスなどに強制退去させました。
元島民の訴えを受け、英高等法院は二〇〇〇年十一月、強制退去を違法とし、元島民に対して米軍基地のあるディエゴガルシア島以外の諸島への帰還権を認める判決をだしました。しかし、英政府は〇四年、安全保障上の理由などを挙げ、英女王の枢密院令を使い、元島民の帰還を禁じました。しかしこれについても、高等法院は〇六年五月、違法と断定しました。
控訴院は〇七年五月に政府側の控訴を棄却。英政府は現在、最高裁にあたる上院上訴委員会に上告しています。下院外交委によると、チャゴス諸島の元島民と子孫は三千七百人がモーリシャスに、約千人が英国に、五百人が、セーシェルに住んでいます。