2008年7月1日(火)「しんぶん赤旗」

税金854億円を棄損

新銀行東京が減資決める


 深刻な経営危機に追い込まれている新銀行東京(東京都新宿区、代表執行役=津島隆一・元東京都局長)は三十日、株主総会を開き、累積赤字を解消するため、開業時の資本金の85・5%にあたる一千十六億円を減資することを決めました。

 減資は八月三十一日以降に行う予定。これによって東京都が開業時に出資した一千億円のうち、約八百五十四億五千万円を棄損し、都民一人あたり六千六百円余がドブに捨てられるかたちになります。

 非公開で行われた同日の株主総会では、減資案を東京都など全株主が賛成して決定しました。減資によって、新銀行の資本金は東京都が四月に追加出資した四百億円とあわせ、約五百七十三億円に縮小します。減資後は都の出資比率が開業時の84%から、95%に増えます。

 新銀行東京は、石原慎太郎知事のトップダウンで都が二〇〇四年度に一千億円を出資し、〇五年四月に開業。赤字が続き、今年三月期決算では累積赤字が一千十六億円にふくらみました。

 一千億円の出資予算には都議会の自民党、民主党、公明党、生活者ネットの各会派が賛成。石原知事は新銀行側の増資要請を受け入れ、今年三月都議会で四百億円の追加出資を提案。自民・公明両党が、日本共産党、民主党、ネットの反対を押し切り可決したことから、都民から抗議が殺到しました。

知事責任重大直ちに撤退を

曽根都議コメント

 日本共産党東京都議団の曽根はじめ政策調査委員長は三十日、新銀行東京の減資問題でコメントを発表しました。

 コメントは、都が新銀行東京の開業時に出資した一千億円のうち八百五十四億円余が減資されることについて、「今回の巨額の損失は、東京都が過大なマスタープランを押しつけたことに原因があり、トップダウンで一千億円を投入した石原知事の責任が、改めて厳しく問われる」と批判しています。

 また、「現経営陣の中心は、マスタープランを策定し、かつ新銀行東京に押しつけた都側の当事者であり、その責任が問われなければなりませんでした。にもかかわらず不問に付した株主総会の責任は重大」と指摘。「新銀行が取り組んでいる再建計画はさらなる損失をもたらす危険の高いものです。東京都は都民の税金を守るため、直ちに新銀行東京から撤退すべきだ」としています。


 減資 企業が多額の損失をだしたり、赤字が累積した場合に、欠損を解消するために資本金の額を減少させること。


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