2008年6月27日(金)「しんぶん赤旗」

普天間爆音に賠償命令

国に1億円余 那覇地裁支部

飛行差し止めは棄却


 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の周辺に暮らす住民ら三百九十六人がヘリコプターや固定翼戦闘機などの爆音被害の賠償、夜間や早朝の飛行差し止めなどを求め、国を相手に訴えていた普天間爆音訴訟の判決が二十六日、那覇地裁沖縄支部で言い渡されました。

 河合芳光裁判長はうるささ指数(W値)75区域、同80区域いずれの住民にも「普天間基地の供用による権利侵害」を認め、約一億四千六百万円の賠償を国に命じました。同基地の爆音被害を司法が認めたのは初めて。

 原告が訴えていた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件などに象徴される「墜落の危険性」についても「地域住民の不安感を増大させる要因」とし、認めました。

 一方で、原告らが強く求めていた夜間早朝の飛行差し止めは、棄却しました。

 争点となったヘリ特有の低周波による健康被害について判決は、「(低周波が)地域住民に共通する被害を与えているとは認められない」と判断。国の騒音防止軽減措置義務についても「ない」と明言するなど、その内容に大きな問題を残しました。

 判決後の記者会見で島田善次訴訟団長は「30%(の評価)だ」とのべ、初めて普天間の騒音被害が認められた意義を評価する一方で、飛行差し止めなどが認められなかった点について「この国は主権国家なのか」と強く批判しました。普天間基地撤去に向け、「日米安保条約そのものを破棄しないといけない」と強く訴えました。

 原告・弁護団は、「納得するのはむずかしい」として控訴の意向を示しています。


 うるささ指数(W値) 国際民間航空機関(ICAO)が定めている航空機騒音が人の生活に与える影響を評価する単位。加重等価平均騒音レベル(WECPNL)ともいいます。航空機の騒音を飛行回数、時間帯などの要素を加味した上で平均的にならし、数値化したもの。「防衛施設周辺の生活環境整備法」でW値七五以上の区域の住宅には防音工事、九○以上の区域には転居などに対して国の助成が認められています。



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