2008年6月27日(金)「しんぶん赤旗」

主張

北朝鮮核申告

非核化めざし外交努力強めよ


 北朝鮮が核計画の申告を六カ国協議議長国の中国に提出しました。核兵器の材料となる核物質と核施設、核計画が含まれるとされます。これを受け米国は、テロ支援国家指定の解除と「対敵通商法」の適用中止の手続きに入りました。

 今回の北朝鮮による核計画の申告は、北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にある核施設の無能力化とともに、六カ国協議が合意した北朝鮮非核化の「第二段階の措置」とされるものです。近く再開される予定の六カ国協議では、「第二段階」の終了の確認とともに、北朝鮮の「すべての核兵器及び既存の核計画の放棄」(二〇〇五年九月の六カ国協議共同声明)という最終段階に向けた具体的措置が設定されることになります。

 今回の一連の動きはそうした重要なステップであり、関係国は朝鮮半島非核化の目標に向けて外交努力をつくすことが求められます。

「行動対行動」原則で

 関係国は北朝鮮の非核化プロセスでの検証を重視するとしており、今回の申告が正確かどうかについても検証作業を通じて明らかになるとの立場です。北朝鮮がすでに提供した一万八千ページを超える原子炉稼働記録がそのよりどころの一つとなると見ています。さらに北朝鮮での現地査察や核開発関係者への聞き取り調査なども行う方針です。

 非核化プロセスが新たな段階に進んだことには、直接交渉にあたった米朝双方、とりわけ米国のイニシアチブが大きかったといわれます。ライス米国務長官は十八日の講演で、北朝鮮は非核化の達成によって「人道的・開発支援、非核エネルギー支援、主権の尊重、国連憲章の諸原則の約束、朝鮮半島の永続的平和など」を確保できると指摘。「外交とは一連のインセンティブ(行動の促進要因)とディスインセンティブ(行動の阻止要因)を構築することだ」と述べ、「約束対約束、行動対行動」の原則を強調しています。

 米国が、かつては固く拒否していた北朝鮮との直接交渉を、この間強力に進めてきた背景には、イラク戦争のゆきづまりが典型的に示しているように、米国の先制攻撃にもとづく世界戦略が破たんし、国際的に孤立を深め、米国の一国覇権主義が通用しなくなったという世界の大きな変化が横たわっています。

 二〇〇五年九月の六カ国協議の共同声明は、朝鮮半島の非核化と並んで「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」をうたい、そのために六カ国協議は「北東アジアの平和及び安全のメカニズム」の構築をめざしています。共同声明の立場で、朝鮮半島の非核化と平和の枠組みづくりのために外交努力を重ねることが必要です。

 朝鮮半島の非核化は、日本の平和と安全にとってもきわめて切実な問題であり、日本が積極的な役割を果たすことが求められています。

日朝の懸案を包括的に

 日朝間には拉致問題という重大な懸案があります。日本共産党は、〇二年九月の日朝平壌宣言の精神にたって核・ミサイル、拉致、過去の清算という日朝間の諸懸案を包括的に解決する立場が重要だと考えます。この包括的解決の過程で一つの問題の解決が先行することは、他の問題の解決の妨げではなく、促進につながりうるものです。

 核問題で日本政府が積極的な姿勢をとることは、拉致問題に対する国際的理解と支援を高める上でも役立つでしょう。こうした立場からの日本外交が求められています。



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