2008年6月23日(月)「しんぶん赤旗」
主張
ビラ配布7・9集会
「当たり前の自由」取り戻そう
集合住宅や一戸建て住宅の郵便受けにビラを配ったり、駅頭や街頭でビラを配布することは、市民的権利の基本の一つである言論・表現の自由を構成する重要な権利です。
とくに日本では、活発な言論がいちばん必要なはずの選挙運動期間に、言論活動の大半が制限されており、そのなかで法定ビラや機関紙号外ビラなどの配布は、残されている数少ない重要な宣伝手段です。
重要な段階迎える3裁判
ところが、こうした当たり前のビラ配布活動にたいして、住居侵入や国家公務員法違反として逮捕・起訴された三つの事件(葛飾ビラ配布弾圧事件、国公法弾圧堀越事件、世田谷国公法弾圧事件)が起こり、現在裁判中です。
これらの事件にたいしては、各支援団体とともに、言論の自由や政治活動の自由を守る立場から、全国労働組合総連合(全労連)、日本国民救援会(救援会)、自由法曹団など広範な諸団体が、裁判支援をふくめてビラ配布の自由を守るための運動をくりひろげてきました。七月九日には、三団体をはじめとする実行委員会が、「ビラ配布の自由を守る7・9集会」を東京・千代田区の日本教育会館一ツ橋ホールで開催します。
三つの裁判は、最高裁、東京高裁、東京地裁とそれぞれ違う段階での審理がつづいていますが、いずれも重要な段階を迎えており、集会では裁判支援を中心にビラ配布など言論の自由を守る意義をひろくアピールしていくことをめざしています。
マンションの廊下や階段などの共用部分は住居ではありません。新聞配達や郵便配達から、一般の営業チラシの配達まで、いろんな目的で部外の人が自由に立ち入ることができる場所です。それを住民の一部の人が気に食わないからといって規制し、逮捕までするのは、言論の自由や結社の自由にたいする重大な挑戦であり、許されません。居住者からみても、そういう各種のビラを必要としている人たちがおり、これを妨げるという点でもみとめられません。
国家公務員の政治的行為を規制する国家公務員法と人事院規則は、それ自体、憲法違反の疑いがつよいものです。「行政の中立」にかかわる憲法の規定として第一五条の「公務員は、全体の奉仕者」があげられていますが、これに該当するのは首相以下すべての公務員です。
しかし、首相、各省大臣、副大臣、政務官などの特別公務員は国家公務員法が適用されず、自由に政治活動をしています。だからといってこの人たちも行政の中立を守る義務はなくなるわけではありません。これにたいし、大臣らの指揮をうける一般の公務員だけが、行政の中立を理由に政治活動についてがんじがらめといってよいほどの規制をうけているというのは、根本的な矛盾です。
行政の中立は、業務それ自体にかかわる場面では守らなければなりませんが、堀越、世田谷両事件のように時間外で誰が見ても公務員とはわからず、場所も離れているところでの行為に政治的行為の規制事項を適用するなど、何の道理もありません。
基本的人権を守るため
三つの裁判は、被告人とされた三人と弁護団だけのたたかいではありません。言論の自由を守り、ビラ配布の権利を確立するのは、基本的人権を守る国民的課題です。
「ビラ配布の自由を守る7・9集会」を大きく成功させ、基本的人権を守るたたかいをいっそう発展させることを呼びかけます。