2008年6月22日(日)「しんぶん赤旗」

主張

二つの「6・23」

米軍再編強行は許されない


 あすは、一九四五年の太平洋戦争末期の沖縄戦で日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日であり、同時に、日本のどこでも米軍基地にできることを認めた六〇年の改定日米安保条約が発効した日です。

 沖縄ではこの日を「慰霊の日」と定め、二度と戦争の惨禍をくりかえさせないという思いを新たにしています。しかし、政府は米軍を優先し、基地のない沖縄をめざす県民の願いには耳を貸しません。さらに基地の痛みをつよめ、全土に広げる米軍再編計画を押し付けようとさえしています。痛みをもたらす元凶の日米軍事同盟をこのままにしていいのか、真剣に問い直すときです。

「痛み」がひどくなる

 沖縄県民は「命どぅ宝」(命こそ宝)のことばを大切にしています。沖縄戦で十数万人もの県民が犠牲になったからです。だからこそ、他国民を殺りくする先制攻撃戦争のための新基地建設に県民が反対しているのです。政府が県民に新基地を押し付けること自体、間違っています。

 沖縄の米軍基地は、県民を収容所に入れている間に奪い取った土地や「銃剣とブルドーザー」で有無をいわさず強奪した土地です。七二年の本土復帰のさい日米安保条約を適用して正当化したこと自体許されないことです。六十三年間も基地を押し付け、土地を提供し続けるのは主権国家のやることではありません。

 土地を奪われた県民に押し付けられている基地被害は深刻です。米軍機の墜落、部品の落下、航空機の爆音は広範囲にわたって夜も昼も県民を苦しめています。九五年の少女暴行事件や今年二月の女生徒暴行事件などの性犯罪をはじめとした米兵の凶悪犯罪も、依然として多発しています。「日本を守ってやっている」「血を流して占領した」という占領者意識がある以上、米軍犯罪をなくすことはできません。

 基地による県民の痛みはもはや忍耐の限度をこえています。基地をなくし米軍部隊を撤退させることなしに、県民の安全も平和も保障されないことはあきらかです。

 安保のもとで痛みは沖縄だけではありません。岩国基地(山口県)は、空母艦載機部隊の移駐などで大規模基地に変わります。いま以上に米軍機による爆音被害が周辺住民を苦しめることになるのは明白です。

 横須賀基地(神奈川県)は、通常型空母の母港から原子力空母の母港になります。これにより米軍は、世界各地に軍事介入する攻撃機能を一段とつよめることになります。核事故をくりかえす原子力空母の母港化は首都圏三千万人を核事故の危険にさらすことにもなります。米軍基地をなくす以外、国民の安全・安心を守る道はありえません。

 日本の平和と安全、生活防衛のためには、米軍基地を撤去させ、米軍再編をやめさせることが必要です。

安保廃棄をめざして

 政府は、米軍基地の撤去を要求すると「飛躍」だといって、頭から問題にしません。基地撤去交渉が難しいからというのです。しかし、個々の基地撤去交渉は難しくとも、基地を認めている日米安保条約をなくすのは容易です。条約第一〇条は、十年たてば一方の国から「条約を終了させる意思を通告することができ…通告が行われた後一年で終了」と明記しています。廃棄通告できるようになった七〇年からすでに四十年近くたっています。安保廃棄を要求するのは当然の権利です。

 安保廃棄の要求と結んで、基地撤去を求めていくことが重要です。


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