2008年6月18日(水)「しんぶん赤旗」

「利潤第一主義」とは?


 〈問い〉 資本主義体制の最大の特徴は「利潤第一主義」だといわれますが、これはマルクスが言ったのでしょうか? 資本主義を特徴づける言葉はもっとたくさんあると思うのですが。「利潤第一主義」について、もう少しくわしく知りたいのですが。(埼玉・一読者)

 〈答え〉 「利潤第一主義」という言葉そのものは、マルクスのものではありませんが、マルクスが明らかにした資本主義の原動力を分かりやすく表現した言葉として使っています。

 マルクスは、『資本論』で、資本のもうけ(利潤)の大もとが、生産過程で労働者が生み出す剰余価値であることをはじめて科学的に解明しました。そして、資本は、より多くの剰余価値を手に入れようとして、搾取を強めることを明らかにしました。マルクスは、そのことを、「資本の魂」「唯一の生活本能」と表現したり、資本の「推進的動機」「規定的目的」という言葉で表したりしました。

 「彼〔資本家〕の魂は資本の魂である。ところが、資本は唯一の生活本能を、すなわち自己を増殖し、剰余価値を創造し、……できる限り大きな量の剰余労働を吸収しようとする本能を、もっている」(『資本論』新日本新書(2)395ページ)

 「資本主義的生産過程を推進する動機とそれを規定する目的とは、できるだけ大きな資本の自己増殖、すなわちできるだけ大きな剰余価値の生産、したがって資本家による労働力のできるだけ大きな搾取である」(同(3)576ページ)

 「資本主義的生産様式をとくにきわ立たせる……ものは、生産の直接的目的であり規定的動機としての剰余価値の生産である」(同(13)1541ページ)

 さらにマルクスは、より多くの剰余価値を手に入れるために資本が「生産のための生産」に突き進んでゆくと指摘しました(同(4)1015〜1016ページ)。これは、一方では、未来社会の物質的な条件をつくりだすものですが、しかし、現実の社会は、資本がどこまでも生産を拡大していくのを無条件で受け入れるようにはできていません。その結果、その矛盾がやがて恐慌・不況となって現れることになります(同(9)416〜417ページほか)。

 「利潤第一主義」あるいは「もうけ第一主義」という言葉は、このようなマルクスの解明を分かりやすく言い換えたものです。(学)

〔2008・6・18(水)〕


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