2008年6月17日(火)「しんぶん赤旗」

米兵 職場飲酒も「公務」

56年合意 日本に裁判権なし

米解禁文書で判明


 日本に駐留する米兵が職場で飲酒をし、帰宅途中に事件・事故を起こしても、「公務中」とすることで日米両政府が合意していたことが分かりました。合意したのは一九五六年の合同委員会。国際問題研究者の新原昭治氏が米国立公文書館で入手した米政府解禁文書などによるものです。

 米軍の特権を定めた地位協定は、米兵が起こした事件・事故が「公務執行中」であれば一次裁判権が米側にあると規定しており、日本側では裁けません。(一七条三項a)

 新原氏が入手した「日米地位協定‥刑事裁判権」と題する在日米大使館の秘密電報(七〇年二月二十八日)によると、日米間で五五年、帰宅途中などに発生した四件の交通事故(あわせて日本人四人が死傷)にかかわり「公務中」の範囲が議論になりました。その結果、「公務」とは、宿舎または住居と勤務場所との往復行為ばかりでなく、その際に、出席を要求された「公の催事」で飲酒をした場合も含めることが、五六年三月二十八日の日米合同委員会で合意されました。

 これを受けて法務省刑事局長が同年四月十一日に検事総長などに出した通達は、今後、合意通りに事故を処理するよう指示。参照として、合同委員会の下に設置されている刑事裁判権分科委員会が五五年十一月二十一日に開いた会議の公式議事録を掲載しました。

 同議事録によると、▽「公の催事」以外で飲酒し、帰宅途中に交通事故を起こした場合でも、飲酒が事故の原因でなければ公務の性格は失わない▽社交上の飲酒でも将校らが出席していれば「公の催事」と認める▽宿舎・住居と勤務場所との間での「寄り道」を公務に含めるかどうかは個々のケースごとに判断する―などの趣旨で日米が合意したことなども明らかになっています。



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