2008年6月14日(土)「しんぶん赤旗」

協定交渉行き詰まり

首相 米の要求は主権侵害

イラク


 【カイロ=松本眞志】イラクのマリキ首相は十三日、訪問先のヨルダンの首都アンマンで記者団に対し、イラク占領米軍の地位協定にかんする交渉が「行き詰まっている」と述べました。「米側の要求が、われわれが受け入れられないイラクに対する著しい主権侵害であることを確認したからだ」と説明しました。

 ロイター電によると、マリキ氏は「米軍がイラク人を拘束し、独自にテロとのたたかいの指揮をとり、イラクの領空・領海域をいつでも自由に使用する許可をいつまでも認めるわけにはいかない。特に米兵と民間軍事会社職員の免責特権は全面的に拒否する」と強い調子で米側の要求を非難しました。

 米・イラク両国はこれまで、国連の権限に基づく米軍のイラク駐留期限が今年末で終了するのにともない、米軍地位協定の七月末締結を中心に、両国間の政治、経済、外交、文化、安全保障の分野にわたる包括的かつ戦略的枠組みづくりの交渉を続けてきました。

 しかし、地位協定案が、(1)米軍兵士と民間軍事会社職員の免責特権(2)米軍のイラク人拘束権(3)イラク政府の承認なしの軍事作戦―を柱としていることから、米軍の占領永続化への懸念が国内で一気に高まり、野党勢力だけでなく与党内からも反対の声が生まれる事態となっていました。

 マリキ氏の発言に駐イラク米大使館側は、「交渉は継続している」と主張。「われわれはイラク人の主権尊重を交渉の基礎としている」と釈明に追われています。

 これより先、アラブ首長国連邦紙ガルフ・ニューズ十二日付は、米側が地位協定案の内容の一部を「手直し」したと報じました。しかし、イラクのクルド愛国同盟のオスマン連邦議会議員によると、米側は「米軍戦闘部隊の免責特権は保持する」とし、米軍によるイラク人の拘束権も、イラクの法制度に従うことを条件に引き続き保持する考えを示したといいます。



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