2008年6月14日(土)「しんぶん赤旗」

北朝鮮、拉致再調査を約束

よど号犯引き渡しも

日本、制裁の一部解除


 町村信孝官房長官は十三日の記者会見で、十一、十二両日に北京で行われた日朝公式実務者協議で、北朝鮮側が、「拉致問題は解決済み」としてきた従来の立場を改め、「日本人拉致問題の解決に向けた具体的な行動を今後取るため」の「再調査の実施」を約束したことを明らかにしました。


 日本政府はこれを評価して、北朝鮮に対する経済制裁のうち、(1)人的往来(2)チャーター便の乗り入れ―禁止を解除。人道支援物資の積み込みに限り万景峰号の入港を認めることで合意しました。

 一方、食料やエネルギーなど人道支援物資の供与について町村長官は、「行いうる状況にない」として実施に踏み切らない考えを表明しました。

 実務者協議では、一九七〇年の日航機「よど号」乗っ取り事件犯人の引き渡しの早期実現でも合意しました。日本側はこれまで、同事件の実行犯の一人および妻二人を、拉致事件の容疑者として引き渡しを要求していました。

 北朝鮮は二〇〇二年九月の日朝首脳会談で拉致被害者の安否を明らかにして以降、一貫して「拉致問題は解決済み」との立場を取り、「拉致問題は未解決」と主張する日本側との日朝国交正常化交渉は平行線が続いていました。

 今回の合意について、町村長官は「北朝鮮側が従来の立場を変更したもの」であり、「一定の前進として評価する」と述べました。

 さらに同長官は、「拉致問題の解決に向けたプロセスが改めて動き出した」として、「拉致・核・ミサイルの諸懸案を包括的に解決し、早急に日朝国交正常化を実現する」と述べました。


日本政府の発表(骨子)

 日本政府が十三日に発表した日朝公式実務者協議と、対北制裁緩和の内容は次の通り。

 【日朝協議】北朝鮮は拉致問題解決に向けた具体的行動を取るための再調査を約束

 北朝鮮はよど号事件の関係者のうち、日本人拉致の疑いで国際手配されている三人の引き渡しに協力する意向を表明

 【対北制裁緩和】日本は人の往来、チャーター便乗り入れなどの経済制裁を一部解除


 日朝平壌宣言 2002年9月17日、小泉純一郎首相(当時)と金正日(キムジョンイル)国防委員長による初の日朝首脳会談で発表。「日朝間の不幸な過去を清算」し、日朝国交正常化交渉の再開を合意しました。日本側は過去の植民地支配に対する「痛切な反省と心からのおわび」を表明し、日朝双方は、朝鮮半島の核・ミサイル問題解決を確認しました。

 日本人拉致事件 1970年代から80年代にかけて日本各地や欧州で日本人男女が北朝鮮によって拉致された事件。北朝鮮側は2002年9月の日朝首脳会談で初めて拉致の事実を認め、被害者4人の生存と8人の死亡を伝えました。日本政府は帰国した5人を含む16人を拉致被害者として認定し、早期帰国や真相究明を求めています。



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