2008年6月11日(水)「しんぶん赤旗」

元本も損害賠償対象

最高裁が初判断

山口組五菱会 ヤミ金事件


 指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融事件で、愛媛県内の被害者十一人が、同会元幹部の梶山進受刑者(58)に総額約三千五百万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は十日、被害者は業者から最初に受け取った元本額についても、損害として賠償を請求できるとする初判断を示しました。賠償額から元本分を差し引いた二審判決(高松高裁)を棄却し、審理を同高裁に差し戻しました。被害者側は「ヤミ金撲滅の追い風になる画期的判決」としています。

 同受刑者は約千店舗あったとされる大規模なヤミ金組織の統括者。貸し付けの利息は年数百%―数千%に上りました。

 判決は、「社会の倫理、道徳に反する醜悪な行為」による給付は「不法原因給付」であり、これについて民法は返還請求を認めていないと指摘。被害者が損害賠償を求めた場合、損害額から給付分を差し引くことは「民法の趣旨に反する」としました。

 その上で、ヤミ金融の元本について「『貸付け』という形をとって、被害者から違法に金を受け取るという反倫理的な不法行為の手段」だったと認定。「損害額からの控除は許されない」としました。

 五菱会の事件では、被害者約百七十人が起こした別の訴訟で、東京地裁が今年三月、元本分を含めた全額の賠償を命令。高松高裁と判断が分かれていました。

 判決後の会見で、ヤミ金融被害対策弁護団の宇都宮健児団長は「司法のトップが、犯罪者であるヤミ金から借りた金は返さなくてもいいと明言した。全国の被害者に、ヤミ金とのたたかいに立ち上がるよう呼びかけたい」と語りました。


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