2008年6月5日(木)「しんぶん赤旗」

朝鮮有事の密約発見

日本政府 在日米軍出撃を容認

1960年当時


 日本政府との事前協議なしに在日米軍が朝鮮半島に自由出撃ができるという密約の覚書(ミニット)が、このほど発見されました。同文書は〇五年三月に機密指定を解除され、名古屋大学大学院の春名幹男教授(国際報道論)が今年二月末に米ミシガン大学フォード大統領図書館で入手しました。

 朝鮮半島への自由出撃に関する密約の存在は、日本共産党調査団が一九九七年に入手した米政府解禁文書で裏付けられていましたが、覚書の全文が明らかになったのは初めてです。

 覚書は現行日米安保条約が発効した一九六〇年六月二十三日に開かれた日米安保協議委員会(SSC)準備会合での藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使(いずれも当時)のやりとりをまとめたものです。

 このなかで藤山外相は、在韓米軍が攻撃を受けた場合、「国連軍統一司令部の下にある在日米軍部隊によって直ちに実施されることが必要とされる軍事戦闘作戦のために、日本の施設・区域を使用してもよい」とする「日本政府の見解」を紹介しています。

 朝鮮半島への自由出撃については、アチソン国務長官と吉田茂外相(いずれも当時)による一九五一年の交換公文で、「国連の極東におけるいかなる行動に従事した」国連加盟国の軍隊にたいしても、日本が「日本国内とその付近において支持することを許しかつ容易にする」としています。

 一九六〇年に締結された現行安保条約では、「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与」(第六条)するために在日米軍が出撃する際には日米両政府の事前協議が義務づけられました。しかし、日本共産党調査団が入手した米政府解禁文書(※)には、「一九六〇年には、アチソン・吉田合意は事実上、国連軍の朝鮮駐留期間中延長され、両国政府は安全保障協議委員会の準備会議の覚書(ミニット)の形の秘密取り決めの交渉をおこなった」と記されています。春名教授が入手した覚書が、これに該当すると見られます。

 ※【国家安全保障研究メモ(NSSM)五号にたいする一九六九年三月二十七日付の「東アジア・太平洋各省間グループ」対応メモに添付された「付属文書 B米日安全保障条約―背景」】



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