2008年5月31日(土)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療

「憲法の生存権・平等原則に反する」

“私も不服請求”各県に広がる


 75歳以上の高齢者を差別する後期高齢者医療制度に対して、被保険者である高齢者や障害者が集団で異議を申し立てる不服審査請求の取り組みが全国各地に広がっています。30日には群馬県で取り組まれました。


 不服審査請求は、都道府県が設置している「後期高齢者医療審査会」に対し、文書などで自らの意見を表明するもの。寝たきりの人や障害を持つ人なども、委任状を作成すれば、代理人を立てることができ、後期高齢者医療保険料の仮徴収書が届いた人なら誰でも請求できます。

 これまでに集団で請求した人たちは「憲法二五条の生存権保障、一四条の平等原則の違反だ」(大阪府)、「回復の見込みがなくなれば切り捨てる制度。死ねといわんばかりだ」(京都府)、「もともとわずかしかない年金を勝手に減らすなんて納得できない」(福岡県)など各自の思いを請求理由にして訴えています。


群馬

 群馬県内では被保険者や代理人が三十日、加入手続きの取り消しを求める不服審査請求書を提出しました。年金者組合などでつくる県高齢者運動連絡会が呼びかけたものです。

 代理人の高野昭夫連絡会会長が十九人分の審査請求書を手渡し、「多くの人が、七十五歳を超えたら国に見捨てられたという思いをもっている」と訴えました。審査会の窓口にあたる県健康福祉部国保援護課の高橋厚課長は「適正に対応します」と答えました。

 請求人の女性(75)は「八十一歳の夫と合わせて保険料が年間二万円以上あがりました。そもそも七十五歳で線を引くということが納得できません」と話しました。男性(76)は「国は今までと同じように医療を受けられると説明していますが、それならばなぜ別の制度をつくり保険料を天引きするのか」とのべました。

東京

 東京都でも、六月二日午前十一時から都庁で集団での請求を計画しています。東京高齢期運動連絡会が呼びかけ、年金者組合東京都本部などが呼応し、不服審査請求についての学習会を開くなど準備してきました。

 初めて不服審査請求をするという女性(77)=東京都清瀬市=は、七十八歳の夫とともに国民健康保険から同制度に移行しました。

 それまで四回に分けて払う国保料は、「一度に払えないから」と行政に相談し、一月ずつ分割で払ってきました。

 ところが今回は、有無を言わさず、二カ月分の保険料が年金から天引きです。「保険料が大幅に値上がり、そのうえ天引きでしょう。生活設計も狂ってくる。この思いを、行政にぶつけたいと思います」と語ります。

 東京高齢期運動連絡会の城田尚彦会長は「印鑑があれば、当日でも申請できます。一人でも多くの声を届け、廃止にむけた運動を広げたい」と話し、不服審査請求への参加を呼びかけています。



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