2008年5月29日(木)「しんぶん赤旗」
原爆症訴訟
認定新基準は不十分
仙台高裁 2審で初、原告勝訴
原爆症認定の申請を却下された仙台市の波多野明美さん(69)と新沼弎雄(みつお)さん(84)が却下の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が二十八日、仙台高等裁判所(井上稔裁判長)であり、却下処分を取り消した一審判決を支持し、被爆者を原爆症と認めました。
全国でたたかわれている原爆症認定集団訴訟で最初の高裁判決で、原爆症認定の新基準運用後初めての司法判断です。
判決後、原告の波多野さんと新沼さんは、支援者に囲まれ、「長かったが本当によかった。ありがとうございました」と目に涙を浮かべて語りました。
判決は、旧審査基準の疑問点を具体的に指摘し、厚労省が形式的に適応する審査をしたと断罪しました。
最大の争点となった治療が必要かどうかの要医療性については、波多野さんのがん切除後障害は、「胃がんと相当因果関係にある障害」とし、新沼さんの再発予防の検査についても「積極的な治療行為が行われていないとしても要医療性を是認するのが相当である」と原告側の主張を明確に認めました。国家賠償請求は棄却しました。
波多野さんの例について国が高裁でも争う姿勢を示したのは被爆者援護法の精神に照らして柔軟な対応に欠けていたとしました。
新基準では要医療性の規定は旧基準と変わっていないため、新基準の不十分さを浮き彫りにする判決となりました。
裁判後の記者会見で、庄司捷彦弁護団長は、画期的な判決と述べ、原告の治療記録を示し、要医療性を否定する国をきびしく批判したと指摘。「被爆の後遺症で苦しむ全国の被爆者に大きな励ましを与える判決だ」と強調しました。
さらに、国が「証拠上明らかに認められるにもかかわらず争う姿勢を維持した」ことを批判し、国家賠償を認める直前までいった判決だと評価。国は上告を断念し、直ちに全面解決すべきだと求めました。

