2008年5月28日(水)「しんぶん赤旗」

主張

軍事利権疑惑

久間氏の証人喚問は欠かせぬ


 軍事利権疑惑をめぐり軍需商社「山田洋行」から巨額の賄賂(わいろ)を受け取っていた守屋武昌前防衛事務次官や贈賄側の宮崎元伸元専務らの裁判がすすみ、宮崎元専務は先週の国会でも証人として証言しました。軍需企業と政界のパイプ役とされた秋山直紀日米平和・文化交流協会常勤理事周辺への捜査も伝えられます。

 問題なのは関与が指摘された久間章生元防衛相や額賀福志郎現財務相など、政界関係者の疑惑解明がすすんでいないことです。とりわけ久間氏については先週の宮崎元専務の国会証言でも改めて疑惑が指摘されました。疑惑解明のためには、久間氏の証人喚問が欠かせません。

久間氏の「圧力感じた」

 「私にたいするプレッシャー(圧力)かと思った」―。宮崎元専務が証人喚問で、CX(次期輸送機)のエンジン調達に関連して、当時現職の防衛庁長官だった久間氏からの圧力を証言したことは重大です。時期は宮崎元専務が一昨年「山田洋行」をやめ「日本ミライズ」を立ち上げた直後です。宮崎元専務がCXのエンジンを開発した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社との代理店契約を「日本ミライズ」に引き継ごうとしていたのに対し、久間氏は「山田洋行」側に立ってそれを阻止しようとしていたといわれます。

 宮崎元専務の証言によれば、久間氏は、「山田親子(山田洋行経営者)が挨拶(あいさつ)に来た。非常にいい親子ではないか」などと、「山田洋行」側に立つことを露骨に明らかにしたといわれます。宮崎元専務が、「防衛」族の大物議員で防衛庁長官だった久間氏の発言を「圧力」と感じたのは当然です。しかも宮崎元専務によれば、「山田洋行」の代理店契約の継続が困難になると久間氏はGEとの直接契約の検討を防衛庁幹部に指示していたといわれます。久間氏の関与はただごとではありません。

 こうした疑惑はこれまでも指摘されたものもあります。しかし国会での証言は議院証言法にもとづき、虚偽の証言には罰則も科せられるものです。宮崎元専務が証言した内容に、久間氏はもちろん防衛省などの関係者は誠実に対処すべきです。とりわけ久間氏自身が率先して疑惑に答えるべきです。国会での証人喚問で指摘された以上、久間氏自身の証人喚問も実現すべきです。

 一連の軍事利権疑惑への久間氏の関与は、CXエンジンの調達だけにとどまりません。昨年行われた守屋前次官の証人喚問では、宮崎元専務が守屋前次官を接待した宴席に久間氏と額賀財務相が同席していたという証言も明らかになりました。守屋前次官は秋山常勤理事が誘って守屋前次官と宮崎元専務、久間氏が会食したことも証言しています。宮崎元専務の証言では、「山田洋行」による久間氏のパーティー券購入なども明らかになっています。久間氏にかかわる疑惑の解明は、文字通り軍事利権解明の核心中の核心です。

政治家としての責任

 軍事利権疑惑は国民の血税が軍需企業と一部の政治家によって食い物にされたという疑惑です。再三にわたり防衛庁長官や初代防衛相を務め、現職の国会議員でもある久間氏の疑惑解明は主権者・国民への責任です。

 国会の政治倫理綱領には、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれた場合」には自ら疑惑を解明し責任を明らかにするとあります。自ら責任を果たさない久間氏を国会が証人喚問しなければ、今度は国会の責任が問われることになります。


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