2008年5月24日(土)「しんぶん赤旗」

飼料高騰補う支援を

党国会議員団 農水相に追加要請


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(写真)農水省生産局の内藤局長(右端)に申し入れる(左から)紙参院議員、赤嶺衆院議員=23日、農水省

 日本共産党国会議員団は二十三日、若林正俊農林水産相あてに、激しさを増す飼料価格高騰から畜産・酪農経営を守るため、国としていっそうの支援策をとるよう申し入れました。党議員団の申し入れは二月に続くものです。

 飼料価格高騰による生産者の負担は、二月時点で一トンあたり前年同期比七千七百円増だったのが、現在は九千七百円増に達しています。一方で、チーズなどの加工原料乳の生産者補給金が一キロあたりわずか一円(共産党は五円以上を要求)の引き上げにとどまるなど、生産コストの上昇に見合う支援策は示されていません。

 申し入れで紙智子参院議員は、「一円の引き上げでは経営は維持できない」と強調し、補給金の再度引き上げを求めました。また、飲用乳や肉用牛・豚、鶏卵についても飼料高騰から生産者を守るため、生産者団体と再度価格交渉に応じるよう乳業メーカーを指導する、畜産酪農経営の所得確保を目的とした新たな価格制度を検討するなど六項目を要請しました。

 応対した農水省の内藤邦男生産局長は、飼料高騰分を製品価格に反映することが基本だとの考えを示す一方、「(飼料高騰は)異常事態であり、安心、継続して経営できるよう条件整備を進めていきたい」と述べました。

 申し入れには紙氏のほか、赤嶺政賢衆院議員、高橋千鶴子衆院議員代理が参加しました。


畜産・酪農追加対策申し入れ

(全文)

 日本共産党国会議員団が二十三日、若林正俊農林水産相あてに行った畜産・酪農追加対策に関する申し入れ(全文)は以下の通りです。

 国際的な穀物価格の上昇による配合飼料価格の異常な高騰は、畜産・酪農経営を直撃し、存立の危機に追い込んでいる。このような中で日本農業の根幹の一つとなっている畜産・酪農経営を守ることは急務の課題である。

 しかも、飼料価格の高騰の長期化が予想されるもとでは、これまでの配合飼料価格安定制度はもとより、畜産・酪農価格制度の抜本的見直しが求められている。同時に、輸入に依存してきた飼料供給体制を見直し、飼料自給率を引き上げることは国民的課題となっている。ついては、以下申し入れる。

 一、配合飼料価格の引き続く高騰の下で、本年二月に決定した加工原料乳生産者補給金の一円引き上げでは、酪農経営が維持できないことは明確であり、生産コストの上昇に見合うように補給金を抜本的に再度引き上げること。

 二、乳業メーカーと生産者団体との交渉で決められる飲用乳価(生産者乳価)について、飼料価格の続騰を考慮した価格になるよう、再度の価格交渉を乳業メーカーに対して指導すること。

 三、現行の配合飼料価格安定制度のもとで、生産者の負担は、前年同期に比べて、トン当たり九千七百円程度に及び、一層の経営危機を招いている。この際、生産者負担分に対する新たな支援制度を創設するとともに、飼料価格が長期に高騰する事態を想定していない現行の配合飼料価格安定制度を早急に見直すこと。

 四、七月以降の生産コスト上昇から畜産経営を守るため、肉用牛肥育経営安定対策事業及び肥育牛収益性低下緊急対策事業の補てん割合を十割まで引き上げること。また、肉用牛、肉豚及び鶏卵の生産者価格についても生産コスト上昇分を引き上げること。

 五、今後も長期的に飼料価格等の上昇が想定される中で、畜産酪農経営を守るために、畜種ごとに必要な所得を確保することを目的とする新たな価格制度の導入の検討をすすめること。

 六、日本の飼料自給率を急速に引き上げるために耕作放棄地や休閑地での飼料米生産や飼料用米(発酵飼料稲)生産が促進されるように財政支援を強めること。また、草地林間放牧による酪農肉牛経営の展開等、日本の国土の有効活用による酪農・畜産生産政策を進めること。


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