2008年5月9日(金)「しんぶん赤旗」

主張

国民平和大行進

核兵器廃絶を歩いて訴え50年


 ことし五十周年を迎えた原水爆禁止国民平和大行進(同実行委員会主催)がスタートしました。

 一九五八年六月二十日、被爆地・広島市の平和公園から東京での第四回原水爆禁止世界大会をめざし、西本あつしさんが一人歩き始めました。毎日二人、三人、十人、百人と増えつづけ、東京到着時には数万人の大行進にふくれあがり、参加者は延べ百万人の大行進となりました。

 東京まで歩き通した西本さんは大会で「これは決して到着点ではありません。平和への出発点であります」とのべています。以来、平和大行進は全国に広がり、全都道府県をつなぐ国民的な一大行事となっています。

一歩でも二歩でもと参加

 核兵器廃絶を訴えて歩く国民平和大行進は、この半世紀にわたって毎年、雨の日も風の日も休まずつづけられてきました。原水爆禁止世界大会が被爆地での開催となった一九五九年からは、広島・長崎への八月初めのゴールをめざして、三カ月にわたって行進しています。

 全都道府県を結ぶ十一コース(北海道―東京、東京―広島、長崎―広島など延べ八千キロメートル)の幹線のほか、各都道府県内をくまなく歩く網の目行進が広がり、七割の自治体でのとりくみとなっています。

 核兵器の廃絶や被爆者援護・連帯、平和を願う人であれば誰でも気軽に参加でき、その一歩一歩が広島、長崎につながっています。毎年の世界大会の成功を支え、草の根に反核平和の願いと運動を広げ、育てる大事な行動となっています。

 各地で自治体訪問が積極的におこなわれ、行進を歓迎し、一緒に歩く首長も少なくありません。沿道では、お金をいっぱい詰め込んだビンや缶を手にした住民が行進を待ち受けて被爆者援護の募金に応じたり、折り鶴を託す人、「一歩でも二歩でも」「一人でも多く、男も女も参加を」という呼びかけに応じて飛び入りで参加する人など共感を広げています。

 海外からの参加も増えています。二〇〇五年には百人を超えるフランスの青年代表が来日し、世界大会に先だち、広島市内での行進に参加しました。

 イギリスではこの三月、反核団体「核軍縮運動」の主催で核兵器製造施設のあるオルダーマストンで、現地でのやはり平和行進五十年を記念する集会が開かれ、日本原水協の代表団も参加しました。集会前日には二十キロの行進にとりくみ、二〇一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けて核兵器廃絶の流れを強めようと連帯を深めました。

世界大会支える大きな力

 核兵器廃絶は世界の声となり、国連総会では毎年八割以上の国が、核兵器廃絶の合意の実行を求める決議に賛成しています。アメリカの元政府高官が核兵器のない世界を現実にするよう呼びかけ、イギリスの国防相も「核兵器のない世界」に言及するなど、新たな動きも広がっています。

 二〇〇八年国民平和大行進は八月の原水爆禁止世界大会、さらに二〇一〇年NPT会議に向け、核兵器廃絶運動を発展させる力となります。

 六日から始まった、東京―広島コース、北海道―東京コースの行進につづいて、他の幹線コースや網の目行進も順次始まります。

 核兵器廃絶と平和の思いを原水爆禁止世界大会の成功へとつなぐ草の根の力、平和大行進を大きく成功させ、五十年の感動と成果を引き継いで、核兵器廃絶と平和を求める運動をさらに広げていきましょう。



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