2008年5月2日(金)「しんぶん赤旗」
主張
ガソリン増税
暮らしを直撃した与党の責任
福田内閣と自公が強行したガソリン税の増税によって、早くもガソリンの大幅値上げが始まりました。
生活必需品の値上げラッシュで庶民の暮らしはますます苦しくなっています。バターやチーズ、食パンやスパゲティなど食料品の値上げが続き、電力・ガス会社も料金の大幅値上げを予定しています。中止・撤回を求める世論を押し切って、政府・与党が四月から実施した後期高齢者医療制度では、とくに低所得層の負担増が大きな問題になっています。
ガソリン増税は苦しい暮らしに追い打ちをかける庶民いじめです。
初めに増税ありき
庶民の暮らしを直撃するガソリン増税を強行した福田内閣と自民党、公明党の責任は重大です。
増税を強行した直後の記者会見で福田康夫首相は「本当に苦しい判断だった」とのべました。公明党の太田昭宏代表も一日、「たいへん苦しい決断だった」と演説しています。
あまりにも、しらじらしい言葉です。実際には、初めから増税することしか頭になかったことは明白です。四月十一日の政府・与党合意は、道路特定財源を議論する「前提として」、ガソリンの増税法案を「一日も早く成立させる」という強硬姿勢だったではありませんか。
公明党の北側一雄幹事長は一日付の公明新聞で、「公明党は、国民の皆さまに納得いただけるよう、道路支出のムダ削減に徹底して取り組んでまいります」とのべています。
血税をカラオケセットなどにつぎ込んできたことは許せませんが、公明党は自らの重大な責任をわきまえるべきです。野放図な税金の流用をはびこらせてきたのは、公明党の冬柴鉄三・前幹事長が大臣を務める国土交通省です。北側幹事長当人も、二〇〇四年から〇六年まで国土交通大臣を務めた前任者であり、二人の現・前大臣に大きな責任があることは明らかです。無駄遣いを減らす先頭に立っているかのように胸を張れる立場ではありません。
ガソリン税増税の最大の目的は五十九兆円の道路中期計画の財源の確保であり、「総額先にありき」で際限なく高速道路を造り続ける中期計画こそ無駄遣いの本丸です。
一九九〇年代の公共事業の大盤振る舞いは国と地方に巨額の借金を背負わせ、役に立たない道路や港湾を各地に残して大きな国民の批判にさらされました。政府も一時は「総額先にありき」の公共事業計画をなくす方向を打ち出したほどです。
この動きに対する逆流の先頭に立ってきたのが公明党の二人の大臣です。十年で五十九兆円をつぎ込む中期計画をとりまとめたのは冬柴大臣であり、その原案ともいうべき五十八兆円の「道路整備の中期ビジョン」を〇六年にまとめたのが北側・前国交相です。
生活者財源と言うなら
政府・与党は中期計画を「十年」から「五年」にするとしていますが、「総額先にありき」の計画に変わりはありません。
首相は道路特定財源を「生活者財源」に改革すると言っています。しかし、中期計画をやめない限り、財源は果てしない高速道路の建設に吸い込まれていくことになります。
政府・与党はガソリン増税に続いて、ガソリン税などを道路特定財源にする特例法改定案を十二日以降にも再議決する方針です。一般財源化し「生活者財源」にすると首相が言うなら、税金を高速道路で浪費する道路特定財源と暫定税率の十年延長は撤回すべきです。