2008年4月23日(水)「しんぶん赤旗」

老人医療費無料の時代があったのですか?


 〈問い〉「老人医療無料」の時代があったのですか?その歴史と、日本共産党のかかわりを教えてください。(高知・一読者)

〈答え〉1960年後半〜70年代、日本共産党が躍進し、革新自治体が数多く誕生するなかで、住民本位のあたらしい政治の潮流が生まれました。老人医療費の無料化は、その革新自治体が切りひらいた実績のなかでもとりわけ輝くものでした。

 端緒は岩手・沢内村(現・西和賀町)のとりくみです。1960年、同村は全国で最初に65歳以上の老人医療費無料化を開始し、61年には対象を60歳以上に広げました。

 日本共産党は、同村の経験に学び、いち早く64年の第9回党大会で「全額無料の老人の健康管理と医療保障の実施」をかかげ、全日本民医連、日本患者同盟、全日自労、新日本婦人の会などの団体と協力して各地で奮闘しました。60年代後半には、無料化の動きは東北地方から全国的に広がりました。とくに東京都に革新知事が誕生し、69年12月、70歳以上の医療無料化を実施したことが画期となり、その後、数年を経ずして革新、保守を問わず8割をこえる地方自治体で老人医療費の無料化を実施するようになります。

 これが、自民党政府をおいつめ、ついに、73年1月1日から、国の制度として70歳以上の老人医療費無料化制度が実施されたのです。

 72年暮れの総選挙で日本共産党が野党第2党へと躍進すると、社会保障・福祉制度を整備させるたたかいに弾みがつき、老人医療費無料化につづいて、年金の物価スライド制、健康保険の家族7割給付、児童手当の創設などの実現をみました。政府も73年を「福祉元年」というようにまでなります。

 革新都政はさらに、73年7月から、国の制度の対象外となった65歳以上70歳未満の医療費も無料化し(のちの「マル福」制度、石原都政になって廃止)、これにならう自治体が相次いだ結果、国も同年10月から寝たきりの高齢者に限って65歳以上も無料化しました。

 しかし、80年代に入ると、社会党が反革新に転落し、流れが逆転。財界と自民党は、日本共産党をのぞく野党をまきこんで、福祉をどんどん後退させていきます。

 82年8月、鈴木内閣は、老人医療を有料制に逆戻りさせる老人保健法案を強行成立させます。83年2月1日、同法は施行され、10年続いた老人医療無料化制度が廃止されたのです。

 この老人保健法案には、自民党とともに、公明、民社、新自連(新自由クラブと社民連の統一会派)が賛成、法案促進の立場をとりました。とりわけ、公明党は老健法案が提出される1年前に“老人医療を有料化すべし”という政策を他党に先駆けて発表し“旗ふり役”をつとめました。(喜)

 〔2008・4・23(水)〕


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