2008年4月23日(水)「しんぶん赤旗」

激務でうつ病発症

解雇は無効 東芝に賠償命令

東京地裁


 長時間過密労働によってうつ病にかかり、休職したのを理由に解雇したのは無効として、東芝の労働者が解雇無効と損害賠償を求めていた裁判の判決が二十二日、東京地裁でありました。

 鈴木拓児裁判官は、月九十時間を超える時間外労働があったとして「業務上の疾病」と認定。療養中の解雇を制限した労基法一九条に違反し、安全配慮義務にも反しているとして、解雇は無効とし、未払い賃金や慰謝料など総額二千八百万円の支払いを命じました。

 弁護団によると、業務上の疾病による解雇無効の判決は初めて。訴えていたのは、埼玉県の深谷工場の技術職、重光由美さん(41)。二〇〇〇年から生産ラインの立ち上げプロジェクトに従事し、残業や休日出勤が激増。〇一年四月、抑うつ状態と診断されましたが、次々と業務を担わされ症状が悪化。同年九月から療養生活を余儀なくされ、〇四年九月、休職期間満了を理由に解雇されました。

 東芝では、成果主義賃金のもとで長時間労働がまん延し、精神疾患が増加。重光さんの携わるプロジェクトでは同僚が二人も自殺しました。しかし、熊谷労基署は過重労働と認めず、労災不支給を決定。裁判でも東芝側は、過重労働ではないと主張していました。

 判決後、記者会見した重光さんは、「当たり前のことが認められるまで長い道のりだったが、うれしい。東芝は職場に問題があったことを認めて二度と悲劇が起こらないようにしてほしい」と語りました。

 川人博弁護士は、「過重労働が原因でうつ病になった労働者を一方的に解雇するケースが多いなかで、企業に重大な警告を発するものだ」と強調しました。

 東芝広報室は「主張が認められず遺憾だ。控訴手続きをとった」とのコメントを出しました。



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