2008年4月22日(火)「しんぶん赤旗」

防衛省汚職初公判

守屋前次官、収賄認める

検察 政治家関与に触れず


 軍需商社「山田洋行」をめぐる汚職事件で収賄と議院証言法違反(偽証)の罪に問われている前防衛事務次官の守屋武昌被告(63)に対する初公判が二十一日、東京地裁(植村稔裁判長)でありました。同被告は起訴事実について「そのとおり」と大筋で認めましたが、収賄金額の一部について争う姿勢を示しました。検察側は冒頭陳述で、同被告と軍需商社との癒着関係を詳細に語りました。一方、軍事をめぐる利権構造の問題点や、政治家の関与については触れませんでした。


 贈賄側の同社元専務、宮崎元伸被告(69)ら三人も併合審理され、いずれも大筋で認めました。

 冒頭陳述によると、守屋被告は一九八五年ごろ宮崎被告と知り合い、その後、現金供与や飲食の接待を受けるようになりました。

 起訴された接待(別項)を含めて、確認されたゴルフ接待は日帰り三百六十一回、泊まりがけ三十一回。費用は合わせて約二千五百六十万円超となりましたが、守屋被告側は一回も支払わなかったとしました。

 装備品納入での便宜を期待しての接待であることを、守屋被告が認識していたと指摘しました。

 起訴事実以外にも、宮崎被告側から守屋被告に▽自宅購入資金として二千万円の貸与▽株購入資金として一万ドルの供与―があったとしました。

 一方、守屋被告は、空自の次期輸送機CXのエンジン選定について、部下に「(宮崎被告が設立した商社)日本ミライズと随意契約するに決まっているだろう」と話し、宮崎被告への便宜を図ったとしました。冒陳ではこのほか、護衛艦エンジンの選定や地対地ミサイル導入など七つの事例を挙げ、いずれも守屋被告が宮崎被告に有利な言動をとったと指摘しました。


守屋前次官の起訴事実要旨

 収賄罪=二○○三年八月―○七年四月、宮崎被告から十二回計約三百八十九万円相当のゴルフ旅行と、百八回計約四百九十七万円相当の日帰りゴルフの接待を受けた。○四年五月―○六年二月、同被告側から妻と二女名義の口座に計約三百六十三万円の送金を受けた。

 議院証言法違反罪=○七年十月の衆院テロ特別委員会で「日帰りゴルフで毎回一万円を払った」と偽証。参院外交防衛委員会で、二女の留学で同被告側から送金を受けたのに、受けていないと証言した。


構造的問題にメスを

市田書記局長が会見

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十一日、国会内で記者会見し、守屋武昌前防衛事務次官の初公判について「守屋氏一人の問題にとどめず、防衛省と政界、軍需産業のトライアングル―構造的な問題にメスを入れられるかどうかが問われている」と述べました。

 市田氏は、守屋氏が初公判で収賄の事実を認めたとし、「今後、法による厳正な処罰を期待したい」と表明しました。

 その上で「ばく大な軍事利権にからむ政界ルートにはなんらメスが入っていない」と強調。水増し請求や野放図な随意契約の裏にある、大量の防衛省・自衛隊OBの天下り問題はまったく究明されていないと述べました。

 市田氏は重要な問題として、政界ルートの中心と目される秋山直紀氏(日米平和・文化交流協会常勤理事)と久間章生元防衛相が今年も、ゴールデンウイーク中に、多数の国会議員や防衛商社の幹部と訪米し、米国防担当者や米防衛産業担当者との懇談を公然とおこなおうとしていることを指摘。「こうした構造にメスを入れてこそ、真の再発防止につながる」「司法による裁きとともに、政治的に、国会の場でも明らかにしていくことが必要だ」と強調しました。



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