2008年4月20日(日)「しんぶん赤旗」

主張

学費軽減

未来の担い手に安心と希望を


 高校や大学の入学金や授業料が高すぎて、進学をあきらめ、学業が続けられなくなる―子どもはもちろん親たちにとっても、やり場のない心痛むできごとです。つい最近も千葉や長崎の県立高校で、入学金の納付が間に合わなかった新入生が、入学式に出してもらえなかったという出来事が大きな問題になりました。

 日本共産党はこのほど、「『世界一高い学費』を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために」の政策提言を発表しました。国民的な世論と運動を高めて軽減を実現することは、若者に安心と希望をもたらし、未来を支える安定した基盤を築くために不可欠です。

経済的理由で中退増加

 私立学校で教える先生たちが参加する全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)の調査によれば、全国の私立高校生のうち昨年九月末段階で三カ月以上学費を滞納しているのは三千二百人以上、経済的理由の中退者は年間百五十人を超え、中退率はここ数年上昇しています。

 大学などで学ぶ学生が参加する全日本学生自治会総連合(全学連)などの調査でも、「生活費をかせぐためバイト漬けで授業で寝てしまう。何のために大学に来ているのかわからなくなる」など、深刻な声が相次いで寄せられています。(『学費黒書』)

 経済的理由によって、進学や学業の継続をあきらめる事態が相次いでいるのは、国民の間で貧困と格差が拡大しているのに加え、政府の予算削減や自治体リストラで、国公立でも私立でも入学金や授業料の値上げが続いているからです。たとえば国立大学の授業料は、一九七〇年には年額一万二千円でしたが、いまでは五十三万五千八百円です。これほど高騰した公共料金はありません。

 公立高校の授業料も二〇〇七、〇八年度の二年間だけで全国四十七のうち四十五の都道府県で値上がりしています(「しんぶん赤旗」の調査)。国の基準額が値上げされた影響が大きく、基準額はこの四十年間に十倍以上に引き上げられました。

 教育を受けることは基本的人権のひとつであり、経済的理由で妨げられるべきことではありません。若い世代が高校や大学で新しい知識や技術、理想を身につけることは社会発展にとって不可欠であり、社会の財産となります。だからこそ、学費をできる限り低額にとどめ、無償に近づけていくことが世界の大勢です。欧米のほとんどの国で高校の学費はなく、大学も多くの国で学費を徴収していません。

 日本共産党の提言は、▼公立高校の授業料は年収五百万円まで減免、私立高校は五百万円以下は全額、八百万円以下は一部減額する直接助成を▼国公立大学の授業料も減免を広げ、私立大学の授業料負担も直接助成制度で減らす▼国の奨学金を無利子に戻し、返済猶予を拡大する―などを提案しています。いずれも、経済的理由で学業を断念する若者をこれ以上出さないために、緊急に必要な対策を押し出したものです。

政治の異常をただす

 日本共産党の提言を実行するための経費は、年間約千九百億円です。政府がやる気にさえなればただちに実行できるほどの金額です。

 世界一高い日本の学費は、世界に異常な、自民党政治のゆがみのひとつです。日本政府は、「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めた国際人権規約の該当条項さえ留保し、批准していません。ただちに留保を撤回させ、学費負担軽減の姿勢を明確にさせることも必要です。



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