2008年4月11日(金)「しんぶん赤旗」

米、石炭火力発電ノー

地球温暖化を懸念

全国で新設反対運動


 【ワシントン=鎌塚由美】地球温暖化への懸念が高まるなか、米国で温室効果ガスの主要な排出源となっている石炭火力発電所の新設に反対する動きが強まっています。米国のシンクタンク「地球政策研究所」(本部ワシントン)のレスター・ブラウン所長は、「米国での石炭火力発電の時代は終わりに近づいているかもしれない」と指摘しています。


計画151カ所中59カ所で断念

 同研究所によると、二〇〇七年初めの米エネルギー省の報告では、百五十一カ所の石炭火力発電所が計画段階にありました。ところが、そのうち五十九カ所が州政府の不承認などで建設を断念。さらに五十近くの計画が係争中となっており、残りの計画も許可段階になると裁判が起こされる可能性があるといいます。

 同研究所は、「いくつかの地方のさざ波として始まった石炭火力発電所への抵抗が、全国規模の大きな反対運動へと展開している」と指摘。

 環境諸団体の反対で電力会社が予定していた十一の計画のうち八つを放棄したテキサス州の例(〇七年二月)や、ワシントン、フロリダの各州で同年、知事の法案署名で、石炭火力発電所の新設が事実上、一時停止に追い込まれていることを紹介しています。

 米メディアも、石炭火力発電所の建設を規制する動きを相次いで伝えています。米紙ニューヨーク・タイムズ(六日付)は、テキサス州の建設計画を転換させた地元のたたかいに光を当てたドキュメンタリー映画について紹介。農民と環境団体による反対運動には「最終的に自治体や教育委員会など三十八団体が加わった」と伝えました。

 ワシントン・ポスト(六日付)は、温室効果ガスの排出規制を科学者の立場から主張してきたジェームス・ハンセン氏(米航空宇宙局=NASA=ゴッダード宇宙研究所所長)が、大手電力会社の代表に石炭火力発電所の規制を働きかけたことを紹介しました。

 地球政策研究所のブラウン所長は、いまある石炭火力発電所をなくしていくために、「エネルギー効率の引き上げ」や風力、太陽光、地熱など「再生可能なエネルギー源の開発」が必要だと強調しています。



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