2008年4月11日(金)「しんぶん赤旗」

主張

憲法と世論

「いまこそ旬」に確信もって


 施行六十一周年の憲法記念日まで二十日余りです。「九条の会」呼びかけ人で昨年亡くなった小田実さんは、「憲法九条、いまこそ旬」と語りました。九条はもちろん生存権、働く権利などを定めた憲法全体が「旬」です。

「改憲反対」が上回る

 読売新聞(八日付)が毎年実施している恒例の「憲法」世論調査で、憲法「改正」に反対が賛成を上回りました。一九九三年以来、十五年ぶりです。理由も「世界の誇る平和憲法だから」がトップ、「基本的人権、民主主義が保障されているから」も増加しています。改憲案を自ら作成し、改憲世論をリードしてきた「読売」の調査だけに注目されます。

 「読売」調査で改憲賛成派が減って反対派が増えたのは、「九条の会」が結成された二〇〇四年が転換点でした。翌年から改憲賛成派が四年連続で減少、とうとう反対派が逆転した世論の変化は、草の根の「九条の会」の増加と軌を一にしています。

 憲法改悪反対の国民の意思は、昨年の参院選結果にもはっきり示されました。改憲勢力は選挙結果と続く安倍内閣の崩壊に対して、「これまでの流れに対するゆり戻しが強く感じられる」「三年後に憲法改正の発議という道のりは少し長くなった」(昨年十月の日本会議十周年記念大会で三好達会長)とショックを受けています。憲法問題での自民・民主の協調路線も、国民の意思の前にとりづらくなっています。改憲原案を審査する国会の憲法審査会も半年以上、始動できていません。

 同時に改憲勢力が決して憲法改悪をあきらめたわけでないことも直視する必要があります。「新憲法制定議員同盟」は、三月四日の総会で、自民、民主両党の幹事長が顧問に座って新体制となり、「九条の会」を名指しして、対抗する地方の拠点づくりを宣言しました。日本青年会議所は会頭メッセージを出して、「国民参加型憲法タウンミーティング」を全国で開くと発表しました。改憲勢力なりに草の根運動を重視しています。

 自衛隊の海外派兵と海外での武力行使を可能にする恒久法制定の策動も重大です。自民党の深谷隆司衆院テロ対策特別委員長は米国防副長官に恒久法の今秋制定を明言しました。同党の恒久法制定に向けた合同部会の山崎拓座長は、それに向け法案を今国会に提出すると首相に提案したといいます。来年一月の新テロ特措法期限切れまでに恒久法を制定しようとの衝動は強烈です。自民、民主、公明の国会議員による議員連盟も恒久法制定をテーマに今月中にも始動しようとしています。

 恒久法は、インド洋での給油活動などを単に延長するものではなく、活動範囲の拡大や武器使用基準の緩和を通じて憲法が禁じる海外での武力行使を可能にする狙いをもっています。現に自民党の原案(国際平和協力法案=石破試案)では、治安活動(安全確保)や警護、臨検(停船検査)などを列挙、「危害防止のため」「予防のため」を口実に、イラクでの米軍掃討作戦のような殺傷・破壊活動まで可能としています。

世論と運動を広げて

 「憲法守れ」の草の根運動への確信と、明文改憲と解釈・立法改憲の策動―この二つの面をリアルにみることが重要です。

 今年の憲法記念日には、「生かそう憲法、輝け九条 5・3憲法集会」など各地の集会が予定されています。「九条世界会議」も千葉などで開かれます。改憲も派兵法も許さない世論と運動の広がりが期待されます。


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