2008年4月8日(火)「しんぶん赤旗」

サドル師派との戦闘開始

マリキ政権に米圧力

アラブ紙が報道

イラク


 【カイロ=松本眞志】イラクで三月下旬に起こった米・イラク軍とシーア派のサドル師派民兵組織マハディ軍との戦闘について、軍事作戦を開始した政府側の意図や、事件が与える今後の影響についてアラブ各紙などが分析しています。


 政府側の目的について、汎アラブ紙アッシャルク・アルアウサトは、戦闘が始まった南部バスラのサドル師派幹部ハリス氏の声を紹介。同氏は、作戦の目的が十月予定の地方選挙に向けてサドル師側に打撃を与えることにあったと指摘。「選挙が行われれば、サドル師派が議席を伸ばすことを政府側は知っている」と語りました。

 ヨルダン紙ヨルダン・タイムズは、マリキ首相がもともとこの作戦に乗り気ではなかったにもかかわらず、現地米軍高官がイラク軍の能力を過信し、戦闘に臨んだ可能性があると指摘しました。同紙はまた、ブッシュ米大統領の意を受けたチェイニー副大統領が事件直前の中東訪問の際、「マリキ氏に軍事行動に踏み切るよう説得した」と報じています。

 マリキ首相は今回の作戦を「成功」と評価しました。これに対してロイター通信は、「マリキ首相の作戦は逆効果だった。なぜならイラク軍の弱点を露呈し、政敵を勢いづかせただけでなく、サドル師派が国民の強い支持を受けていることを示したからだ」としています。サドル師派が提起した停戦についても、「十月の選挙までハネムーンは長く続かないだろう。紛争が終わったのではなく、ただの“停戦”であり、選挙が近づけば戦闘が再燃する可能性がある」との専門家の見解を示しました。

 バーレーン紙バーレーン・トリビューンは、バスラでのマハディ軍と、同じシーア派の与党イラク・イスラム最高評議会(SIIC)民兵バドル軍との一年以上におよぶ主導権争いに言及し、「ブッシュ政権は、米軍全面撤退を主張するサドル師派ではなく、米軍駐留継続を支持する勢力を勝たせたかった」と述べています。



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