2008年4月1日(火)「しんぶん赤旗」

「日の丸・君が代」強制

都教委が20人処分

教職員らが抗議声明


 東京都教育委員会は三十一日、今年の卒業式で「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱しろとの職務命令に違反したことを理由に、公立学校の教職員二十人を懲戒処分にしたと発表しました。「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会は、「教職員・生徒に『日の丸・君が代』を強制する教育破壊の暴挙」との抗議声明を発表しました。

 処分内容は停職六カ月が二人、減給十分の一・六カ月が二人、同一カ月が七人、戒告が九人。うち二人は合格していた退職後の再雇用と非常勤採用を取り消されました。

 昨年、停職六カ月の処分を受けた教員は今回の処分で免職となる可能性もありましたが、都教委は同じ停職六カ月にとどめました。

 「日の丸・君が代」を強制する「10・23」通達が出された二〇〇三年十月以来、処分された教職員はのべ四百八人になりました。〇六年九月に東京地裁が同通達は憲法違反との判決を出していますが、都教委は控訴し、その後も強制と処分を続けています。

 処分が発令された都教職員研修センターの前には抗議の教職員や市民ら二百人が集まり、「日の丸・君が代の強制をやめろ」「処分を撤回しろ」「教育の自由を守れ」とシュプレヒコール。処分された人たちを激励しました。


強制を強めるな 抗議の会見

 東京都教育委員会が卒業式での職務命令違反を理由にした処分を発表した三十一日、処分された教員らが記者会見で抗議の意思を表明しました。

 減給処分になった教員は「『君が代』を歌えないという生徒がいるのを知っていた。苦しんでいる人に寄り添っていこうといってきた私が、その生徒を前に立つわけにいかなかった」とのべました。

 戒告処分の上、合格していた嘱託としての再雇用を取り消された教員は「母の介護のために退職し、嘱託の道を選んだのに、思いをふみにじられた」と悔しさをにじませ、「いま放置していれば(教育が子どもたちを戦場に駆り立てた)昔の状態に戻ってしまう」と決意を語りました。

 昨年停職六カ月の処分を受け、今回も同じ処分になった教員は「子どもたちのために10・23通達をなくそう」と訴えました。

 「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」の近藤徹事務局長は、起立しない生徒に対し司会者が「起立しなさい」と繰り返すなど「生徒への強制が強まっている」と指摘。処分された教員が担任をはずされる事態も起きるなど「いじめが始まっている」とのべました。また、退職後の再雇用を取り消された人は二人、拒否された人は十三人にのぼることを明らかにしました。



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