2008年3月30日(日)「しんぶん赤旗」

主張

08年度予算成立

ボロボロ予算は役に立たない


 二〇〇八年度予算案は参院本会議で否決された後、衆院の議決優先によって成立しました。

 トヨタやキヤノンなど日本を代表する大企業が賃金抑制をリードし、不安定雇用を増やしてバブル期を上回るぼろもうけをあげてきました。他方で、所得が低迷して冷え込む家計に、自公政府の「構造改革」路線は容赦なく増税と社会保障の改悪を押し付けてきました。

 いま、その矛盾が若者、高齢者、障害者など、あらゆる層の暮らしの困難となって噴出しています。

ただちに一般財源化を

 来年度予算案は審議の中で破たんがあらわになっており、この予算では経済も暮らしも良くならず、貧困を広げることになるのは明らかです。政府の経済政策の根本転換が求められています。

 十年間で五十九兆円を使い切る道路中期計画の財源を保障する道路特定財源は、果てしなく大型道路を造り続ける自動装置です。

 日本共産党の国会論戦はこの根本問題に切り込みました。中期計画が二十年前の一万四千キロの高速道路計画を復活させ、加えて七千キロの地域大型道路の建設も盛り込んでいることをただした質問は大きな反響を呼びました。とりわけ、東京湾にもう一本の横断道路を造るなど、六本の海峡横断道路の建設計画への追及には、与党席から「まだ造るのか」と驚きの声が上がったほどです。たじたじとなった冬柴鉄三国交相は、事前調査の中止を約束せざるを得ませんでした。

 福田康夫首相は〇九年度から特定財源を廃止し一般財源化すると表明した際、中期計画は「国会審議などを通じて見直しの余地があると痛感した」とのべています。世論と日本共産党をはじめとする国会論戦が、ここまで政府を追い込みました。

 道路特定財源は一般財源化したほうがいいというなら来年度予算からすぐ始めることです。首相は中期計画の五年への短縮でお茶を濁そうとしています。しかし一般財源化する以上、特定財源と一体の中期計画そのものを撤回して総額使い切りのやり方と決別し、存立の根拠を失うガソリン暫定税率は撤廃すべきです。

 いま暫定税率をやめて減税すると大混乱に陥ると首相は拒否していますが、国民を混乱させるのは衆院で再議決して再び増税しようとするからです。大きな批判が起こっている浪費的な大型道路計画を抜本的に見直すなら、その財源に充てる暫定税率は不要です。

 日雇い派遣など派遣労働の非人間性を追及した日本共産党の志位和夫委員長の質問には、かつてない激励と共感の声が寄せられています。この論戦を受け、首相も、安定した雇用は消費の拡大にもつながるとして「正規雇用を増やす必要性は、経済界もご理解いただけるはず」とメールマガジンに書いています。

 日雇い派遣のような不安定雇用がまん延したのは、大企業の責任だけではなく、自公と民主党が、不即不離で派遣規制の緩和を進めたからです。派遣法の抜本改正は急務です。

家計に軸足を移して

 後期高齢者医療制度への怒りが政治的立場を超えて広がり、社会保障の自然増を毎年二千二百億円も削る抑制路線の破たんも鮮明になっています。農水予算の二倍の五兆円に上る軍事費、米軍「思いやり」予算には根本からメスを入れるべきです。

 軸足を大企業から家計・国民に移し、土台から日本経済を立て直す経済政策に転換することがますます重要になっています。


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