2008年3月29日(土)「しんぶん赤旗」

産業界頼み 達成保障なし

温室ガス削減計画 閣議決定

NGOからも批判


 政府は二十八日、地球温暖化対策推進法に基づく新たな京都議定書目標達成計画を閣議決定しました。一九九〇年比6%減という議定書の温室効果ガス削減目標の達成は可能だとしています。しかし産業界の「自主行動計画」頼みという中身は従来の計画と変わりません。「期待値による『数字合わせ』」だとの批判が環境NGO(非政府組織)から出ています。

 〇五年四月に策定された従来の計画は6%削減目標の達成について、森林による二酸化炭素(CO2)吸収で3・8%、他国との排出量取引で1・6%を見込み、国内対策による削減はわずか0・6%としていました。新計画でも、この枠組みは変わりません。

 ところが火力発電で石炭利用が急増したことなどを背景に、日本の温室効果ガス排出量は〇五年確報値で九〇年比7・7%増となっています。新計画では、(1)「自主行動計画」に基づく産業界の取り組み強化(2)自動車の燃費改善(3)オフィスや店舗での省エネ対策の徹底(4)国民運動の展開―などで国内対策分の目標を達成するとしています。しかし、これらは削減目標の確実な達成を保障するものではありません。

 他方で新計画は、国内排出量取引や環境税など、削減目標達成をより確実に達成する措置の導入は、「具体案の評価、導入の妥当性も含め、総合的に検討」するなどとして、先送りしています。

 鴨下一郎環境相は同日の記者会見で、「進ちょく状況の厳格な点検と機動的見直しを行い、必要に応じて対策の強化をしなければならない」と述べました。

 気候ネットワークの浅岡美恵代表は、新計画では「(削減)不足見込み量の過半に及ぶ電力分野の大幅超過などはそのまま」だとし、京都議定書第一約束期間後の一三年以降に求められる「継続的な大幅削減に備えるものとなっていない」と批判しています。



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