2008年3月21日(金)「しんぶん赤旗」

開戦5年 米国で反戦行動

イラクから手を引け


退役軍人が車いすで

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(写真)米軍のイラク撤退を掲げた平和のための退役軍人会のデモ=19日、ワシントン(西村央撮影)

 【ワシントン=西村央】イラク戦争開始から五周年となる十九日、米国の「平和のための退役軍人会」はワシントン市内で行動、「米軍はイラクから撤退せよ」と市民に訴えました。

 この行動に参加したジェームズ・ジルガン氏(27)は、高校を卒業後すぐに海兵隊に入り、イラク戦争に従軍しました。アフガニスタンにも派遣され、キューバのグアンタナモ基地にも勤務しました。「イラク戦争は不法な占領そのものだ」と語ります。

 ジルガン氏は約二百人の隊列の先頭に立って、国会周辺や国立公文書館前、ホワイトハウス前などをデモ行進。「人々は戦争を望んではいない。暴力を望んではいない。デモに参加してみて、そのことがよくわかった」ともいいます。

 車いすに乗って行進に参加したバディ・ジョージア氏(55)は、ベトナム戦争に従軍して、負傷しました。「今、自分は平和活動家、環境活動家だ」といい、「イラク占領をやめよ。軍を撤退せよ。イラク再建はイラク国民が中心となるべきだ」と主張します。

 合衆国憲法や独立宣言の原本がある国立公文書館前で参加者は、同館の見学コースを訪れた観光客に米国憲法の全文を配布し、イラクへの侵略や戦争犯罪が憲法の精神に反していると訴えました。

 ここでは、バージニア州の会員が準備した「イラク・アフガン戦争で死亡したバージニア州出身の兵士」百三十一人の顔写真、名前、階級を入れた資料も示し、身近なところで多くの犠牲者が出ていることを市民に示しました。

静かに「死者の行進」

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(写真)戦争で殺されたイラク市民と戦死米兵に代わって違法なイラク戦争に抗議し、即時撤退を訴える人々=19日、ワシントン(鎌塚由美)

 【ワシントン=鎌塚由美】十九日にワシントンで終日繰り広げられた反戦行動は、「ウソで始められた戦争でこれ以上罪のない人々が殺されるのは、もうたくさんだ」と訴えました。この五年間で、四千人近い米兵と、百万人ともいわれるイラク市民が死亡しました。

 バージニア州のアーリントン国立墓地から、「死者の行進」がスタートしました。参加者は約百人。黒服に白いマスクをつけ、国務省やホワイトハウス前で静かに抗議しました。殺害されたイラク市民の名前と年齢を書いた板を首からさげたアン・シラージさん(63)=ニューヨーク市=は、「今日の私は殺された五歳の少女です。殺された人々の代わりに、違法で道徳に反する戦争に抗議します」と語りました。

 退役軍人省前では、「おばあちゃんの平和旅団」が、五年にわたる戦争・占領で、多くの負傷者も生まれていることを訴えました。おばあちゃんたちは、いすに腰を下ろし、戦争孤児となったイラクの子どもたちと負傷帰還兵のために毛糸でニットを編みながら戦争に抗議。ニューヨークから来たナディア・リーフさん(75)は、「今すぐ戦争をやめなくてはならない」と語りました。



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