2008年3月21日(金)「しんぶん赤旗」

「労災認定遠のく」

不服審査一本化に批判

全国センターシンポ開く


 政府が労働災害や公務災害と認められない人の不服審査制度を改悪しようとしている問題で、働くもののいのちと健康を守る全国センターは二十日、都内でシンポジウムを開きました。

 現在、労災は労基署に申請し、認められない場合は都道府県の労働保険審査官、さらに厚労省の労働保険審査会に不服申し立てできます。公務災害も災害補償基金支部で認められない場合は、基金支部審査会、さらに基金本部審査会に申し立てできます。政府はこの二段階の制度を「迅速化」などを理由に、厚労省や基金本部にある審査会に一本化する法案を今国会に提出する予定です。

 労災相談に携わる東京センター理事の廣田政司さんは、「今でも労災不服申し立ての救済率はわずか4%台。全国一カ所しかない審査会だけになれば救済はさらに遠ざかる」と強調しました。

 「労働保険審査会で処理できず、毎年千件以上が繰り越しされている」と指摘したのは、山梨センターの保坂忠史事務局長。「各県に医師・弁護士・行政経験者の三者による審査機関を設置すべきだ」とのべました。

 遺族からも批判が相次ぎました。医師の夫を過労自殺で亡くした中原のり子さんは「裁判で労災と認められるまで八年かかった。早急に認定するシステムを作るべきで、形だけの短縮化は承服できません」と発言。くも膜下出血で死亡した夫の公務災害認定を求めている倉田利奈さんも「本部審査会に申し立てているが、口頭意見陳述は非公開で人数も制限された。審査会として機能していない」とのべました。


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