2008年3月19日(水)「しんぶん赤旗」

主張

イラク開戦5年

無法な戦争とその支援やめよ


 アメリカのブッシュ大統領がイラクを侵略して無法な戦争を始め、日本政府がそれを支持して支援にふみだしてから五年を迎えます。

 ブッシュ政権が開戦の口実にした、フセイン政権が大量破壊兵器を持っているということも、アルカイダとつながっているということも、すべてうそだったことが明らかになっています。ブッシュ大統領の言い分をうのみにした日本政府の態度が誤っていたのはいまや明白です。無法な戦争とその支援をやめ、戦争の泥沼から抜け出すしか道はありません。

戦争助長の罪は大きい

 イラク戦争は、国際社会の大多数の反対を押し切ってブッシュ政権が始めた国連憲章違反の侵略戦争です。紛争の平和的解決をうたった国連憲章に反した戦争に当時もいまも多くの国が反対するのは当然です。

 アメリカがイラク戦争を始め、日本政府が支援にふみきったのは、フセイン政権が大量破壊兵器を保有しているとの理由からでした。小泉純一郎首相(当時)は、メールマガジンで「大量破壊兵器を保有するイラク」とくりかえしました。与党の公明党も「ないわけはない」(冬柴鉄三幹事長=当時)と強調しました。しかし、当のアメリカの調査でも大量破壊兵器はなかったのです。うそがはっきりした以上、戦争を続ける誤りを重ねるべきではありません。

 大義のないイラク戦争とその後の米軍支配は、国連憲章にもとづく平和秩序をゆるがすものです。日本の戦争支援は、戦争のない世界をめざす国連憲章の理念をだいなしにするものでしかありません。

 米軍はいまも戦略爆撃機を使うなど、無差別爆撃をくりかえしています。空自は国連要員も運んでいるといいますが、空輸の八割は多国籍軍の兵員、軍事物資です。

 米軍の無差別攻撃を後押しする空自の空輸支援は、国際人道法に違反するのはもちろん、「武力行使と一体化」した活動は憲法違反だとする政府見解にも、バグダッドへの空輸は、戦闘地域での活動を禁止しているイラク特措法にも反しています。バグダッドが戦闘地域であるのは、C130輸送機が、おとりの熱源体「フレア」を発射しなければ着陸できないことでもあきらかです。

 イラクにはいまだに十六万人もの米軍の大軍が駐留しています。表面的には治安が改善しているという見方もありますが、それはあくまでもアメリカが力で抑え込んでいるためで、本格的な治安の回復も社会復興も見通しが立っていません。外国軍が駐留する限り、イラクの平和はありえません。

 十万人とも百万人ともいわれる犠牲者と五百万人近くの難民化を生み出しているアメリカの戦争から、日本はただちに手を引くべきです。

戦争やめよの集会成功を

 イラク国内でもアメリカ国内でもイラクからの米軍撤退要求は大勢になり、ブッシュ政権はおいつめられています。世界では「日米同盟」絶対論が通用しなくなっているのに、ブッシュ大統領に「理解し支持する」とのべて、戦争継続を求めた福田康夫首相の態度はあまりにも卑屈です。これではますます国際社会から孤立を深めるだけです。

 米軍の早期撤退を求めるとともに日本政府は自衛隊の即時撤退にふみきるときです。世界各地で無法な戦争の中止を求める活動が予定されています。日本でも二十日の「無法な戦争はすぐやめよ 自衛隊は撤退せよ 海外派兵恒久法許すな」の中央集会を成功させることが重要です。



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