2008年3月14日(金)「しんぶん赤旗」

衆院本会議

道路財源特例法改定案に対する

穀田議員の反対討論(要旨)


 日本共産党の穀田恵二議員が、十三日の衆院本会議で行った道路整備財源特例法改定案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。


写真

(写真)討論に立つ穀田恵二議員=13日、衆院本会議

 この二カ月間の国会の審議によって国民の世論は大きく変化しました。「道路特定財源は一般財源化して、道路にも環境にも福祉にも使えるようにすべきだ」―この声が国民の多数に広がっています。

一般財源化偽装

 ところが、本法案は一般財源化を口にしながら、ガソリン税を「道路財源にあてなければならない」という大原則をいっさい変えていません。

 その年度の道路整備の事業費を上回る税収があれば、「一般財源にあててもよい」というにすぎず、しかも、その使途は、道路に関係する経費に限定し、「一般財源」にあてた分は、翌年の道路整備費にあてなければならないというものです。

 まったくのごまかしであり、「一般財源化」を偽装する法案といわなければなりません。

 福田内閣は、いまだに「ユーザーの理解」を口実に特定財源の維持を主張していますが、安倍内閣のときには、「いまや八割の世帯が自動車を保有しており、ガソリン税の納税者は国民全体におよんでいる」という認識を示しており、この言い分はまったく成り立ちません。

 もはや「一般財源化」できない理由はどこにもありません。にもかかわらず、道路特定財源に固執する本法案は、断じて認められません。

総額先にありき

 第二に、今後十年間にわたって、総額先にありきで道路財源の絶対量を確保しようとするものだからです。

 もともと本特例法は一九五三年に「道路財源臨時措置法」として制定され、以来、三年、五年の臨時、暫定措置をずるずる積み重ね今日に至ったものです。このことをまったく反省せず、今回の法案は、こともあろうに今後十年間にわたって道路財源の絶対量を確保しようとしています。

 人口減少や資源の枯渇、地球温暖化など経済・社会情勢がいかに変化しようとも、道路財源だけは聖域として確保する。これは経済政策としても全く道理がありません。

高速道路が中心

 第三に、「道路の中期計画」の中心が高速道路の新設であり、際限のない高速道路建設を推し進めようとするものだからです。

 審議で明らかとなったのは、総額五十九兆円の「中期計画」の中心が約四割を占める高速道路の新設であり、際限もなくつくり続けようとしていることです。バブル期に策定された一万四千キロの「高規格幹線道路」、約七千キロもの「地域高規格道路」、さらには六本の海峡横断道路まであります。

 冬柴大臣は「海峡横断プロジェクトの調査をやめる」と答弁しましたが、採算性も必要性もない無謀な海峡横断道路の計画そのものを中止すべきです。こうした際限のない高速道路計画を「国土形成計画」の全国計画に位置づけることは、到底認められません。

地方に巨額借金

 第四に、道路特定財源による高速道路の新設を中心とした道路政策が、地方自治体に巨額の借金を押しつけ、さまざまな困難をもたらしていることも審議ではっきりしました。

 地方自治体は、この間、地方交付税を削減され、過去の道路などの公共投資による借金をかかえ、切実な生活道路の維持補修予算さえ削減せざるを得ないなど、深刻な事態がひろがっています。

 そのうえ今後も、高速道路建設にともなう新たな借金を押し付ければ、地方にいっそうの困難をもたらすことは明らかです。

 政府・与党は、道路特定財源がなくなれば、通学路の整備や踏切の改善ができなくなると言います。しかし、実際には、生活道路の整備費の大半が地方自治体の一般財源でまかなわれています。

 地方自治体にとっては、道路特定財源を一般財源化してこそ、自治体自らの判断で、住民のために、切実な生活道路の整備にも使うことができるのであります。

 特定財源によって自動的に高速道路ができていく仕組みを根本的にあらため、その全額を道路にも福祉や医療にも使える一般財源化に踏み出すべきです。



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