2008年3月5日(水)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄県民大会

米兵犯罪許さない意思表明を


 沖縄県婦人連合会など沖縄の市民団体は、「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」を今月二十三日に開催することを再確認しました。

 女子中学生暴行事件で米政府・軍が「遺憾」表明をした舌の根も乾かないうちに、フィリピン女性暴行事件など新たな米兵犯罪が相次いでいます。米軍の「綱紀粛正、再発防止」の説明を信用できないと県民が怒るのは当然です。県民大会を成功させ、性犯罪を含めて米兵犯罪を許さない、断固とした県民の意思を示す必要があります。

だましは通用しない

 女子中学生暴行事件の犯人である米海兵隊員は、中学生が告訴をとりさげたことで不起訴処分となりました。しかし、米兵が罪を犯した事実は消えません。沖縄県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、「人権にかかわることなので泣き寝入りはできない」とのべています。

 暴行事件の犯人は「送っていく」とうそをいって中学生をバイクに乗せ自宅に連れていきました。少女が怖くなって逃げ出したのに車で追いかけ、車中で暴行したのです。初めから暴行が目的だったのは明白です。非難されるべきは米兵です。つらい思いをした少女を思いやることもなく、誘いに乗った方が悪いかのようにいうのは本末転倒です。

 一九九五年の米兵による少女暴行事件のあと、米軍は綱紀粛正を約束し、再発防止のため教育プログラムにもとづいて兵士を教育していたはずです。日本政府も、今年年頭からキャンプ瑞慶覧など現地の基地内に職員を派遣し、県民が苦しんできた沖縄の歴史などを直接米兵に教育していた矢先に事件がおきました。一連の事件は、綱紀粛正や教育プログラムの改善では不十分なことを示しています。児童福祉法が十八歳未満の児童への性行為を禁じていることも教えないのでは少女暴行事件の再発防止に役立つはずがありません。

 いま必要なのは、米兵が沖縄でこれほどの犯罪を多発させる根本的原因を正面から問うことです。米軍の軍事的おごりが犯罪多発に拍車をかけています。在日米軍は世界の紛争に介入する“殴り込み部隊”です。世界の「憲兵」だという思い上がりが犯罪を生む原因になっています。基地の縮小・撤去が不可欠です。

 米軍が日本、とりわけ沖縄で性犯罪をはじめ凶悪犯罪を多発させる背景には、沖縄を占領したという根深い“占領者意識”があります。少女暴行はアメリカでも重罪です。それなのに沖縄ではこうした凶悪犯罪をくりかえすのは、いまもって沖縄県を植民地とみなしていることのあらわれでしかありません。

 米軍地位協定も問題です。米軍がのぞむところはどこでも基地にできる「全土基地方式」の明記、基地内の治外法権の容認、「公務外」でも日本が起訴をするまで身柄は米軍におく、という異常な特権保護が米兵の犯罪を助長しているのは否定できない事実です。抜本的な見直しが不可欠です。

基地の撤去をめざし

 基地がある限り、米軍部隊が駐留する限り、犯罪も事故もなくなりません。これは戦後六十三年もの沖縄の歴史が証明している事実です。

 アメリカの言い分をきくだけの日本政府の対米追随姿勢では、再発防止は不可能です。

 米兵によるあらゆる犯罪をなくし、沖縄県民の悲願である基地撤去の道を開くためにも県民大会の成功が重要です。


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