2008年2月28日(木)「しんぶん赤旗」

続消費税なぜなぜ問答

社会保障の財源を考える(21)

Q 「道路の中期計画」 どんな内容?


 政府が道路特定財源を十年間延長する口実としているのは、今後十年間の道路建設の目標を定める「道路の中期計画」です。その内容は、どのようなものでしょうか。

 いま国会に提出されている「道路整備費の財源特例法改正案」では、今後十年間に道路特定財源などにもとづいて実施する道路事業の事業量について、国土交通大臣が案を作成して閣議決定を得ることになっています。これが「道路の中期計画」です。正式には、法案が成立してから作成されるわけですが、国土交通省は昨年十一月にその「素案」を発表しました。

 素案では、十年間の事業量は六十五兆円とされており、年末の与党との折衝を通じて五十九兆円に縮小されましたが、何を削ったのかは不明でした。国会の法案審議で追及されて、やっと数字が出てきました(表参照)。

 もともと、どうしても必要な道路を精査して積算したのではなく、特定財源の規模から逆算して計画規模を見積もったものとしか思えません。なお、削った六兆円のうち三兆円は「コスト縮減」とされていますが、残りの三兆円は、「まちづくりと一体となった道路整備」「有料道路料金割引による渋滞対策」など、この計画外で道路特定財源を使うことにともなうものです。

 政府は、この計画について、「通学路の歩道整備」や「開かずの踏切解消」などを宣伝材料として強調しています。しかし、金額的に見ると、計画の中心はこれらの事業ではなく、高速道路の建設です。

 表は、素案に盛り込まれた事業別の一覧です。事業間に大幅な重複があるため、単純合計すると五十九兆円を大きく超えています。この中で、もっとも大きな割合を占めているのが、「基幹ネットワーク」で、これは全国的な高速道路ネットワークのことです。五兆円規模の「生活幹線道路ネットワーク」も、「地域高規格道路」という高速道路に準ずる道路が中心です。あわせれば、素案の半分近くは高速道路ということになります。

 一方、生活道路の整備はわずかです。通学路の歩道整備は4・5%、開かずの踏切対策は6・5%にすぎません。

 一九九〇年代には、「十年間で六百三十兆円」という公共投資基本計画のもとで、道路をはじめ、港湾、空港、下水道など、事業別の計画が策定され、これにもとづいて公共事業が進められました。「五年間で何兆円」という事業量があらかじめ定められ、これを全部使い切るように、予算が編成されました。この「総額使いきり方式」の計画が浪費の元凶だと批判され、政府は、二〇〇三年度からは道路以外の公共事業については、事業量を金額で示した計画はつくらなくなりました。

 ところが、道路だけは、「特定財源があるから」という理由で、「総額方式」の五カ年計画の作成が法律で義務づけられたのです。今度は、それを、さらに長い十カ年計画にしようというのです。こんな浪費の継続は許されません。(つづく)

表

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