2008年2月26日(火)「しんぶん赤旗」

続消費税なぜなぜ問答

社会保障の財源を考える(19)

Q 「一部を一般財源 化する」というが?


写真

(写真)「高規格幹線道路」として建設が進む京奈和自動車道・大和御所道路=奈良県

 政府は、揮発油税と石油ガス税を「道路特定財源」とすることを定めた「道路整備費の財源の特例法」を二〇一七年度まで、十年間延長する法案を国会に提出しています。しかし、その説明の中で、「道路に使わない余った分は一般財源化して、ほかに使ってもいいようにする」などと言っています。実際はどうなのでしょうか。

 法案をよく見ると、「一般財源化」とはほど遠い内容です。たしかに、これまでは、その年度の揮発油税と石油ガス税の収入は、その年度の道路整備費に充当することになっていました。それを、その年度においては他の財源に充当してもいいことに変更します。これをもって「一部一般財源化」だというのです。

 しかし、これには二つのごまかしがあります。

 第一には、その年の道路整備費が多くて、財源が余らなければ一円たりとも一般財源化されないということです。あくまでも「余ったらほかに回すよ」ということにすぎません。

 第二に、さらに重大なことは、他の用途に回した額に相当する分を、翌年度の特定財源に追加する仕組みになっていることです。〇八年度の「特例法」に係る特定財源の見込み額は、揮発油税が二兆七千二百九十九億円、石油ガス税(譲与税分を除く)が百四十億円、あわせて二兆七千四百三十九億円です。道路整備費の予算額は、地方道路整備臨時交付金を含めて二兆七千十億円です。差し引き四百二十九億円が「一般財源化」される計算です。この四百二十九億円が、翌年の〇九年度の特定財源に追加されるのです。〇九年度の税収や道路予算が〇八年度と同程度ならば、〇九年度はさらに「余り」が増えますが、これは一〇年度に追加されます。

 このように、順々に翌年度に繰り越していって、十年間が過ぎた後に余った分は、十一年目の一八年度以降の道路財源に充当されることになっているのです(図参照)。これでは、「一部一般財源化」などではなく、単なる「繰り延べ法案」にすぎません。

 政府は、なぜ、こんなごまかしを行うのでしょうか。それは、これまで政府自身が「一般財源化」を公約してきた経緯があるからです。〇一年の参議院選挙で、当時の小泉首相は「道路特定財源の一般財源化」を公約しました。後を継いだ安倍首相も一般財源化の方向を主張してきました。小泉内閣時代の〇六年六月に制定された「行政改革推進法」には、「特定財源制度に係る税の収入額については、一般財源化を図ることを前提とし…具体的な改正の案を作成する」と定められました。

 こうした経緯に照らせば、道路特定財源を今後十年間も延長するという今回の政府の法案は、歴代首相の公約にも反し、政府自らが提案して制定した法律をも踏みにじるものといわなければなりません。(つづく)

グラフ


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