2008年2月26日(火)「しんぶん赤旗」

韓国新大統領の就任演説

「小さな政府」を強調

経済軸に実用主義


 【ソウル=面川誠】韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は二十五日の就任演説で、経済再生を最優先の課題に位置付け、「経済」を軸に国政を運営していく構想を明らかにしました。極貧の家庭に生まれ、日雇い労働者も経験し、現代建設という大企業経営者、ソウル市長、大統領と上りつめた自らの人生を振り返り、「このように韓国は夢を実現できる国だ」と力説。いわゆる「コリアンドリーム」を国の経済再生に重ね合わせました。

 李氏は就任演説で、新政権の政策の特徴を内政、外交政策にわたる「実用主義」と表現。経済成長のために「小さな政府、大きな市場」を強調、南北関係では北朝鮮の核開発放棄と対外開放政策を要求、東アジアの平和と繁栄に向けては米韓同盟の強化と日本、中国、ロシアとの協力をめざすとしています。

 李氏が演説で宣言した「大韓民国先進化」のビジョンは、「産業化と民主化の成果を大事に育て、各自がみずからの役割を果たし、公共の福利のために協力する社会」というものです。そのために国民に「変化」に参加するよう呼びかけました。

 李氏が提示した変化の一つは、「小さな政府、大きな市場」。公共部門の民営化、公務員の段階的削減、不必要な規制の撤廃などです。「企業は国富の源泉であり、雇用創出の主役」だとして、企業活動の環境改善を進める一方で、企業には透明で公正な経営を求めました。労組に対しては「闘争の時代から同伴の時代」に向けて労使の協調を訴えました。

 対外的には自由貿易協定(FTA)の推進を表明。農林水産業の経営改善のために政府が支援していく考えを示しました。

 国民の期待が最も強い国民生活分野では、青年層を中心とした雇用創出、不動産価格の安定、高齢者福祉の充実などに努力するとしました。

 対北朝鮮政策でも「経済」を軸にする基調が貫かれています。大統領選挙の公約である「非核・開放3000構想」を改めて表明。北朝鮮が核放棄と対外開放政策に乗り出すことを条件に、十年以内に北朝鮮国民の年間平均所得を三千ドルに引き上げるために経済援助を行うと呼びかけました。

 国際協力の分野では、地球温暖化対策を挙げました。温室効果ガスの排出削減に乗り出すべきだとして、「このためには経済が一時的には試練を迎えるかもしれない。しかし、この試練に耐えて創造的に適応すべきだ」と述べ、企業が負担を受け入れるよう促しました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp