2008年2月20日(水)「しんぶん赤旗」

続消費税なぜなぜ問答

社会保障の財源を考える(15)

Q 「日本の防衛」とは関係ないのに?


 年間五兆円近い軍事費の中で、武器、車両、航空機、艦船などの装備関係の予算は、約一・六兆円を占めています。この中には、「日本の防衛」という政府の建前からかけはなれた「他国を攻撃できる能力をもつ兵器」が多数含まれています。

 インド洋にも派遣されたイージス型護衛艦は、もともと空母の活動を支援するために開発されたもの。米空母戦闘群との共同作戦が想定されています。一九九八年までに四隻が就役、二〇〇七年にはさらに大型化した五隻目が就役、この三月には大型の二隻目が就役予定です。「ミサイル防衛」用の改修も行われています。

 昨年八月に一隻目が進水したヘリ空母(ヘリ搭載護衛艦)は、ヘリコプター十一機を搭載可能で、同時に四機が離着陸可能というものです。現在、二隻目が建造中で、さらに二隻が計画されています。揚陸艦型の大型輸送艦「おおすみ」は、自衛隊の車両七十両などをイラクに運びました。国連平和維持活動(PKO)などの海上基地として使うため、超大型に設計されており、これまでに三隻が建造されています。これまでに二隻が就役している大型補給艦も、インド洋などに派遣され、米軍などに燃料補給を実施しました。これらの海外派兵型の艦船だけでも、約一・三兆円が使われています。(表参照)

 これまでに四機、合計で九百七十六億円が予算計上された航空自衛隊の空中給油機は、外国の空域での制空権確保を可能にするもの。現在開発中の次期輸送機(CX)は、アラスカまで届く長い航続距離を誇るなど、いずれも海外派兵型の兵器です。

 これらの海外派兵型の兵器は、「平生から、他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つのは憲法の趣旨とするところではない」(五九年、伊能防衛庁長官)、「いわゆる攻撃的兵器を保有することは、自衛のための最小限度の範囲を超えることとなるから、いかなる場合にも許されない」(八八年、瓦防衛庁長官)という、従来の政府の国会答弁にも反するものです。

 一方、いわゆる「米ソ対決」の時代に、「対ソ連戦」を想定して開発した兵器が、ソ連が崩壊して情勢が変わった今でも、製造されているという状況もあります。こうした「時代遅れ」の典型が、九〇式戦車です。「ソ連の侵攻に備えるため」として、主に北海道への配備を目的として開発された同戦車は、九〇年から配備が開始されましたが、その翌年にはソ連が崩壊し、目的が失われてしまいました。それにもかかわらず、毎年のように配備が続き、〇八年度予算までで三百三十三台にもなろうとしています(グラフ参照)。総額で三千百億円を超えており、一台当たり九億円以上、従来の戦車に比べて倍以上もの価格です。これも、「日本の防衛」には役立たないことが、誰の目にも明らかです。(つづく)

表

グラフ


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