2008年2月14日(木)「しんぶん赤旗」

「『米価の不足払い制度』は時代に逆行」か?


 〈問い〉 志位委員長が代表質問で提案した米価の不足払い制度を、福田首相は「食管法時代に戻ることと同じ、時代に逆行」「米の安売り競争を招き、コスト削減意欲が低下する」として拒否しました。この言い分には道理があるのでしょうか?(宮城・一読者)

 〈答え〉 この10年余で生産者米価は4割近くも下落し、米づくりの崩壊の危機が広がっています。

 この事態は、政府の米価下支えの機能があった食糧管理法を1995年に廃止し、現行食糧法を導入して市場にゆだねたことから始まったものです。このもとで米価の安定対策は農家による生産調整にゆだねられましたが、米流通の全面自由化で、大手スーパーなどによる生産費を無視した買いたたきが横行し、需給がほぼ均衡している年でも下落が続いてきたのです。

 このような市場まかせ、暴落野放しの米価政策を続けては、国民の命を支え、地域経済と国土や環境をまもっている米づくりの崩壊は必至です。志位委員長が提案した米価の不足払い制度は、こうした事態を根本的に転換し、生産費にみあう基準価格と販売価格との差額を補てんして農家の再生産を保障するというものです。

 この提案を、福田首相が「一定水準の収入や所得を保障する仕組みは、…食管法時代に戻ることと同じで、時代の流れに逆行する」などといって拒否したのは、この間の暴落の原因と責任に目をつぶり、米作農家の苦難を解決しようとする意思がないことを示すものです。

 アメリカでも、90年代にいったん廃止した不足払い制度を、価格暴落が続くもとで農業経営を守るために02年に復活させています。農業大国といえども市場原理一辺倒では農業は守れないからです。この点からみても、志位委員長の提案は“時代の要請”にこたえたものといえます。「時代に逆行」という言葉はむしろ、世界の食料不足が顕在化するなかで食料自給率をさらに低下させ、いっそうの自由化を前提に、国内農業を切り捨てる農政に固執している自公・福田内閣にこそあてはまります。

 なお、日本共産党の提案は、米の全量政府買い入れや米流通の全面的な規制などかつての食管制度に戻ることを意味するものではありません。民間流通が定着している現状をふまえて、産地や品質を考慮しながら生産コストを保障する仕組みです。これによってこそ農家の創意が発揮され、意欲が高まり、生産性の向上にも結びつくと考えています。(橋)

〔2008・2・14(木)〕


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