2008年2月13日(水)「しんぶん赤旗」

艦載機来るな 民意は不変

岩国市長選 井原氏惜敗

新たなたたかい決意


 「あきらめないで粘り強く頑張りたい」「新たなたたかいに踏み出そう」―。米空母艦載機移転問題を大きな争点とした山口県岩国市長選挙で、前市長の井原勝介氏が千七百八十二票のきん差で福田良彦氏に敗れた結果に、選挙事務所で開票を見守った支援者が悔しさを口にしました。


 井原氏は、「全国からの応援や多くの市民の熱い思いを受け止めきれず申し訳ない」と深く頭を下げました。

 井原氏は、昨年十二月に市長の職を辞し、「米軍再編問題を早期に解決するため、民意を再結集する」と選挙に臨みました。

 各紙が行った投票所での出口調査では、暮らしの問題とともに、艦載機問題にたいする市民の関心は高く、艦載機移転「反対」が「賛成」を大きく上回りました(「朝日」調査で「賛成」18%にたいし「反対」47%。共同通信社調査で「賛成」と明確に答えた人は二割以下)。

 二〇〇六年三月の住民投票と同年四月の市長選で「移転反対」を鮮明にした民意は、今回も大きく変わることはありませんでした。

 井原氏は、「民意は変わっていない。基地周辺で苦しんでいる方々の立場に立って、(福田氏は国との話し合いを)進めてほしい」と語りました。

 福田氏はこれまで、艦載機移転問題では、「(再編計画が)閣議決定した以上、県や市が反対しても変わらない」とのべ、地元の説得にあたってきました。

 井原氏を支援した女性(57)は、「福田さんは国いいなりの政治しかできない。岩国基地は極東一の米軍基地となって、岩国の安全・安心は保障されなくなるのでは」と不安を隠しきれません。

 しかし福田氏は、艦載機移駐容認の条件として「騒音・治安の問題で受忍の限度内との確約を取る」「まず住民の不安を解消する。国の言いなりにはならない」と表明しました。

 全市民の代表である市長になった以上、市民の意思をまったく無視してことをすすめることはできないことを示しています。七十代の男性は、「艦載機を受け入れれば、騒音はもっとひどくなる。まだあきらめないで粘り強く頑張りたい」と語りました。

 「新しい市政がどう対応するのか、きちんと見ていこう。おかしなことをしたら、声をあげよう」。こんな意見も聞かれました。

 井原氏はいいます。「これまで進めてきた新しい民主主義、地方自治が少し停滞するかもしれないが、この流れを押しとどめることはできない」

 福田氏は、米軍再編交付金をあてにして、振興策や子育ての負担軽減や学校の耐震化などを公約しています。このことにも市民の厳しい目が向けられています。

 艦載機移転反対の一致点で市民の共同のたたかいを広げてきた「民主主義と自治を守る議員有志の会」(県議二人、市議九人)の一人は、「移転反対の共同の関係は今後も崩れない。艦載機受け入れ反対の民意は変わっていない」と話しました。

 今回の選挙は、“アメとムチ”で、国の言うことを受け入れさせるためなら手段を選ばない暴挙にたいし、岩国市の民主主義と自治を守るたたかいでもありました。この岩国市民の気骨ある姿に全国から共感と支援が寄せられました。(尾崎吉彦)


 十日投開票された山口県岩国市長選挙の結果は次の通り。

当福田  良彦37無新 四七〇八一
 井原  勝介57無新 四五二九九
(投票率76・26%)



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